柔道のグランドスラム(GS)パリ大会の男子100キロ超級3回戦で、五輪2連覇のテディ・リネール(30=フランス)を撃破した影浦心(24=日本中央競馬会)が11日、成田空港に帰国した。10年間無敗で154連勝中だった「絶対王者」を倒した小兵は「ずっと目標にしていた選手に勝てて夢のようだった。歴史に名を刻めた」と胸を張った。報道陣20人超に囲まれ、反響の大きさにやや驚いた様子だった。

同じ過ちは繰り返さないと決めて臨んだ。初対戦だった昨年10月のグランプリ・ブラジリア大会の映像を毎日見返して研究。24センチ差ある179センチの小柄な体格を武器に、払い腰や背負い投げなどでじらし「勝負は延長戦」と考えた。思惑通り、延長40秒に内股透かしで勝負を決めた。しかし、決勝で一本負け。東京五輪代表争いで1番手の原沢久喜(百五銀行)を追う立場として大きな痛手で「結果は満足してない。甘さが出た」と猛省した。

今年1月1日に、中学時代の1歳年下の後輩と結婚したことを明かした。「東京五輪金メダル」の願いを込め、結婚指輪は金色を購入した。五輪代表は27日に決まる可能性もある。24歳の実力者は「あとは結果を待つだけ」と、吉報を心から願った。【峯岸佑樹】