ノルディックスキー・コンバインド(複合)競技の県女子選手の先駆者・清水悠月(新井高3年)が今春、京産大に進学してステップアップを図る。U-20の全日本強化指定選手で初の欧州遠征(1月20日~2月11日)を経験。遠征中にはコンチネンタル杯(ノルウェー)の出場など刺激を受けてきた。女子コンバインドは冬季オリンピック(五輪)の種目にはないが、26年イタリア五輪の正式採用を信じ、今日25日からの全国高校選抜スキー大会(長野・野沢温泉)から奮闘を始める。

清水は忙しい。今日25日からは全国高校選抜スキー大会に出場。3月3日には北海道に飛び、複数大会に参戦を予定する。大学進学前の転戦で3月17日の高校の卒業式に出席できないほどの過密日程だ。県内の現役女子ジャンパーも、女子コンバインド選手も清水1人だけ。「取り組む選手が出てきてほしい」と願う思いがモチベーションのひとつになっている。

欧州遠征中のコンチネンタル杯は2戦して17位、18位。フィンランドでは2週間合宿した。欧州滞在中に、地元妙高市で全国高校スキー大会(3~7日)が開かれた。女子コンバインドが公開競技として初採用された大会だった。海外遠征との選択に清水は迷ったが、国際大会の経験は今後の糧になった。「海外選手のレベルは高い。ジャンプはアプローチと踏切を安定させなければ…。走りは身長(150センチ)がないから技術と体力をつけたい」。

距離選手だった清水は、妙高中3年でコンバインド選手に転向した。「スキー板を履いて飛んでいる夢を見た。楽しくて、起きても(夢を)覚えていた」。実際の楽しさを求めて、弟優貴君(妙高小6年)が所属する妙高ジャンプチームに入った。性格は負けず嫌い。「楽しく攻める」がモットーでジャンプの上達は早かった。わずか1年4カ月の練習でラージヒルを初めて飛び、その2カ月後の17年11月にはNHK杯(札幌・大倉山)に出場(20位)していた。

「ジャンプは、ほぼ同じ身長(152センチ)の高梨沙羅さんが私の励み」と言う。小柄な全身で世界を相手に活躍するジャンパーが目標だ。しかし「本職」はコンバインド。進学する京産大には同じ種目の女子選手がいないだけに、ここでもパイオニアになる。「五輪種目にはないけれど、26年イタリア五輪で採用されることを信じてやる」。6年後を期待しながら、清水は飛んで、走る。【涌井幹雄】

◆清水悠月(しみず・ゆづき)2001年(平13)5月28日生まれ、妙高市出身。妙高中から新井高に。4月には京産大の経営学部に進学する。距離選手だったが、中学3年にジャンプを始めてコンバインドに転向。全国高校スキー大会には1、2年時に2年連続出場。150センチ、52キロ。血液型O。