新型コロナウイルスの影響で来夏に延期した東京五輪について大会組織委員会の森喜朗会長(82)が10日、都内で記者会見し、開催可否の判断時期について「仮定のシナリオを臆測し論じるのは時期尚早だ」と述べ、臆測が飛び交っている状況を火消しした。会見前に行われた国際オリンピック委員会(IOC)理事会とのオンライン会合では、簡素な大会に向けた新方針について合意した。

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森会長は会見冒頭、開催可否について「状況を注視し、必要に応じてIOCなど関係者とよく相談したい」と述べ、具体的な判断時期については現時点で決めずにその都度、判断していく考えを示した。IOCともその方針で一致したという。中止の議論についても「全くしていない」と断言した。

開催可否の判断時期については東京大会を監督するIOCのジョン・コーツ調整委員長が「10月が重要な時期になる」と話す一方、組織委の遠藤利明会長代行は来年3月ごろになるとの見解を示していた。森会長は「アスリートも含め動揺があったことは間違いない。慎重に対応したい」と述べた。

安倍晋三首相が述べた「完全な形」での開催という考え方についても質問が飛んだ。森会長は「モスクワ五輪のように多くの国が参加できない変則的な形にならないよう、できるだけ多くの国が参加できる大会が完全な形と言えるのでは」と述べた。

また、新型コロナのワクチンが開発されなければ開催は厳しいとの報道が散見する状況に「ワクチンや新薬全てが整うことが『完全な形』ということではないと安倍総理も考えているだろうし、私もそう受け止めている」と述べた。IOCトーマス・バッハ会長は英BBCのインタビューでワクチン開発が開催条件になるかと問われ、「世界保健機関(WHO)の助言を頼りにしている」と明言を避けていた。【三須一紀】