各競技のガイドラインが出そろいつつある中、フェンシングはシニアもジュニアも、いち早く無観客の大会開催を決めた。東京オリンピック(五輪)の代表候補が出場する全日本選手権は9月26日に決勝を行い、有志による全国高校総体(インターハイ)代替のオープン大会「High School Japan Cup 2020」は9月25~27日に神奈川・星槎レイクアリーナ箱根で開かれる予定で準備が進む。

後者は既に具体的な感染症対策を公表している。11~12月への延期という保険を持ちつつ、安全対策チームがリスク低減を模索。握手を禁止してサリュー(剣を前方にかざすフェンシング特有の礼)にしたり、マスクの内側には口元をガードするインナー飛沫(ひまつ)ガードを取り付ける。

接触も避けるためICT(情報通信技術)を多用。剣や防具の安全性確認結果をクラウドサーバー連動の非接触カードで確認するNFCカードシステムを導入したり、判定器をネットワーク化して電子スコア情報を記録、提出できるようにする。厚労省の「新しい生活様式」例に基づき、すれ違いを極力回避すべく会場内も原則一方通行とする。

今月3日の発表後、さらに進化。江村宏二プロジェクトリーダー(08年北京五輪代表監督)は「選手、スタッフ全員分の抗体検査を行うメドが立ち、検温用サーモグラフィー4台や質の高い消毒液も確保できそうです。会場周辺の宿泊施設とも密に連絡を取り感染予防策を共有します」。今後の新たなスポーツ大会運営のモデルケースになりそうだ。【木下淳】(おわり)