19年世界選手権銀メダルの松元克央(かつひろ、23=セントラルスポーツ)が、新年初レースでいきなり日本新の1分45秒13で優勝した。自身が持つ記録を0秒09更新。愛称「カツオ」の23歳は「日本新なので、新カツオです」と喜びを表現した。コロナ禍で不透明な東京五輪まで半年。年末年始も地道な鍛錬を続けたことをタイムで証明した。日本人初の同種目金メダルへ、強い決意を口にした。

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真っすぐな口調ではっきりと言った。松元は、半年後に迫る東京五輪について口を開いた。多くの情報が入り乱れる中で「僕は準備をするしかない。金メダルの準備をします。相当な覚悟を決めてやっていく」。その表情に揺らぎはない。

覚悟をタイムで証明した。今年初レースとなった200メートル自由形決勝。前半は銀メダルをとった際の日本記録のラップを下回った。しかし課題だった100メートルから150メートルで再び日本記録を上回るラップに。最後は自慢のラストスパート=「追いガツオ」を発動。特別な調整なしで、同選手権金メダルタイムまで0秒20差の日本新。松元は「今日は何ガツオですか?」とお約束の質問に「日本新なので、新カツオです」とにっこり。続けて「1度喜んだ後は、すべてにおいて強化していきたい」と言った。

高い目標がある。19年銀メダルは同種目日本人初。欧米の壁にはね返されてきた花形種目で初の快挙だった。しかしレースでは1番手でゴールしたラプシス(リトアニア)がフライングで失格となっており、繰り上がりの銀メダル。実際の着順は3番手だった。昨秋の国際競泳リーグ(ISL)ではそのラプシスに連敗した。悔しさが、年末年始のハードな練習の原動力だった。

コロナ禍で先行きは不透明でも「カツオ」の志は変わらない。「五輪で金メダルという目標を掲げている。しっかり覚悟を決めてやっていきたい」。五輪があるか、ないかではない。ただ自分で決めた道を、まっすぐに泳ぐ。【益田一弘】