来年2月4日開幕の2022年北京冬季オリンピック(五輪)まで4日でちょうど1年となった。節目に、冬季五輪史上最多8度出場、北京で9度目を目指すノルディックスキー・ジャンプ男子の葛西紀明(48=土屋ホーム)が日刊スポーツのインタビューに応じ、心境を語った。ポジティブ思考のレジェンドは、五輪開催と自身の代表入りを真っすぐに信じている。【聞き手=保坂果那】

-北京五輪まで1年

葛西 北京は絶対にやるでしょうね。今年予定されていたプレ大会は中止になったけど、中国は絶対に本番をやるって意思を感じる。これまで8度の五輪に出て1度もプレ大会がなかったことはないけど、いきなり本番になったとしても、選手は何の問題もない。3本、いや1、2本飛べば、だいたいそのジャンプ台は分かると思う。しかもみんな同じ条件なので平等。

-延期は想定するか

葛西 北京はやると思うから想定しない。ただ、逆にちょっと延びたら、それをプラスにもできる。僕にとってはチャンス。今の調子では代表に選ばれてもメダルは取れない。去年より良くなっているけど、調子がさらに良くなるのに数カ月、数年かかる。もしかしたら僕以外にも、チャンスと感じる選手がいるかもしれない。

-コロナ禍で、今季はワールドカップ(W杯)札幌大会などが中止に

葛西 来年はあると信じている。いつもは、その時期が代表選考の最後。そこがラストチャンスと思っている。僕はいつでもポジティブにしか考えない。

-五輪プレシーズン。選手の調整に変化は

葛西 特にないんじゃないかな。今やるべきことをやって調子を上げるってことしか考えていない。調子がいい人は、いかにキープするか。五輪シーズンになったらW杯に出ながら、この試合は休むなど、調整するけど。

-選手間で、北京五輪開催への不安は

葛西 聞かないですね。ジャンプって、もともと五輪の代表が決まるのが他の競技より遅い。1カ月前。みんな、それまではまず選ばれることを考える。

-冬季の選手として、夏季の選手や東京五輪をどう見ているのか

葛西 夏の選手は相当つらい思いをしているだろうな。やるかどうかが、分からない。やらないって決まった時、この五輪のために一生懸命頑張ってきたのに出られないのは、“つらい”を超えている。僕なら恨んでしまうかもしれない。僕の年くらいの選手でも、1歳下のビーチバレーの西村晃一君とか、頑張っている選手がいるし。応援したい気持ちが強い。

-8度も出場している五輪の魅力は

葛西 五輪の金メダルは、みんなが目指しているもの。4年に1度しかなくて、特別な大会。この競技を始めて、五輪を目指すって思った時から、五輪で世界一になる夢が、潜在意識に埋め込まれている。僕は銀と銅しか持っていないから。

-冬季五輪の史上最多を更新する9度目出場へ

葛西 自分は厳しい立場に立たされているけど、僕にもチャンスはなくはないと思っている。06年トリノ五輪の原田雅彦さんも、W杯は転戦していなかったけど、最後の最後に五輪出場権を得た(※1)。国内戦でコンスタントに表彰台に立って、はい上がっていく。まだまだ諦めないですよ。

※注1=原田「奇跡」の代表入り。05年10月のW杯派遣候補選考会で2回とも28位と低迷し、代表落選。だが、12月の下部大会、コンチネンタル杯で2位に入るなどし、06年1月、選考の最後に全日本コーチ陣が連盟会長に「チームリーダーとして必要」などと力説。6人目のギリギリで滑り込み、逆転でトリノ五輪代表入りした。5度目の五輪はNH予選で、スキー板のルール違反で失格、記録なしに終わった。

◆レジェンド葛西の今季 不振で昨季途中からW杯メンバーを外れており、W杯遠征メンバー復帰を目指し下部大会のコンチネンタル杯に出場した。12月末のスイスの大会では2戦とも2回目に進めず、32位と35位だった。コロナ禍で全日本スキー連盟は同杯派遣を見送っていたが、葛西の要望を受けて個人での参加を認めた経緯がある。1月末のHTB杯は7位だった。