ショートプログラム（SP）2位の鍵山優真（17＝星槎国際高横浜）が、初出場で銀メダルの快挙を達成した。

フリー2位の190・81点を記録し、合計291・77点。2年前の世界選手権で熱視線を送った羽生結弦（ANA）を上回り、表彰台に立った。92年アルベールビル、94年リレハンメル五輪代表の父正和コーチ（49）が、国際試合に今回初めて同行。親子二人三脚で歩むシニア1年目の有望株が、22年北京五輪でのメダル候補に急浮上した。

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信じられない光景が広がっていた。最終滑走の羽生だけを残した演技。王者チェンに次ぐ2位で表彰台が確定し、両手を挙げて跳びはねた。「ビックリしすぎて、何も言葉が見つからない。後悔しない演技をすることができた」。冒頭の4回転サルコーで流れに乗り、4回転－3回転の連続トーループは3・26点の加点を得た。スピン、ステップは最高のレベル4をそろえ、今の力を出し尽くした。

隣には父がいた。選手として五輪に2度出場し「練習では日本人で初めて」4回転ジャンプを跳んだとされる名手だ。その父から無理に4回転を跳ばない指導を受け、中学3年だった18年5月、初めて日本代表に選ばれた。

歓喜の翌月、父が脳神経系の病に倒れた。それから3カ月後、カナダで行われたジュニアグランプリシリーズへの同行はかなわなかった。今回のストックホルム入り後、鍵山は「ずっと（父と）一緒に行きたかったので、すごく良かった」とほほえんだ。手にしたのは想像以上の結果だった。

2年前、埼玉で行われた世界選手権を客席で観戦した。チェンと羽生による世界最高峰の戦いを見て、目を輝かせた。この日の演技後も言った。「そもそもこの世界選手権に出ているだけで緊張している。さらに最終グループで練習したり、試合をしたり『自分がここにいていいのか』と最初は思ったけれど『ここに来たからには日本代表としてやらないと』と思った」。この興奮は北京五輪へとつながる。【松本航】