ラグビーのトップリーグ(TL)で18年からリーグ20連勝中(引き分け挟む)の神戸製鋼は、さまざまな仕掛けを用いてチームの土台作りをしている。

今季も開幕5連勝を飾った第5節ヤマハ発動機戦前日の3月26日、普段は統一されている練習着がバラバラだった。赤、青、黄、緑、白…。横じまのボーダーだった選手も多かった。

19年ワールドカップ(W杯)日本代表FB山中亮平(32)は、3年時に日本一をつかんだ大阪・東海大仰星高(現東海大大阪仰星)のジャージーを着用し、15年W杯同代表プロップ山下裕史(35)の左胸には「都島工」と記されていた。集合写真を見れば、明るい雰囲気が一目瞭然だ。

この日、選手がかつて袖を通したジャージーを持ち寄った。企画の狙いは、それをフックにしたコミュニケーション。近年、同様の取り組みを行ってきた。

新型コロナウイルス感染拡大前はビールを片手に、仲間に自らのルーツを説明していた。フランカー橋本大輝(34)は「お互いのことを知るのが目的」。元ニュージーランド(NZ)代表WTBベン・スミス(34)は、来日時から荷物にジャージーを忍ばせていたという。入団1年目の世界的スターも「重要なことだと思う。『どこのクラブ?』『そのチームはどんなチームだった?』とチームメートを深く知ることができる」と効果を口にしていた。

NZ代表アシスタントコーチとしてW杯2連覇に導いたウェイン・スミス総監督、デーブ・ディロン・ヘッドコーチの首脳陣となって3季目。その大きな壁となるのが4月4日の第6節で対戦(神戸ユニバー記念競技場)するパナソニックだ。03年(パナソニックは当時三洋電機)の勝利を最後に15連敗中の難敵。現体制では初の対戦となり、真っ向勝負に注目が集まる。

現在のチームには移籍組以外、パナソニック戦勝利を知る者はいない。その中で橋本大は「実績も自信もついて、自分たちのラグビーは得点力も上がった。自信は今までよりもついています」と誓う。技術はもちろん、築き上げたチームワークで、開幕5連勝同士の大一番を制す。【松本航】