米バスケットボールNBAのラプターズでプレーする渡辺雄太(26)が19日、チームと本契約を結んだ。香川・尽誠学園高時代の恩師にあたる色摩(しかま)拓也監督(47)は日刊スポーツの取材に、「また次の目標に向かって頑張ってくれると思う」。最高峰の舞台で1歩ずつ階段を上り続ける教え子の成長に目を細めた。

中学3年夏ごろの渡辺は身長180センチほどで、色摩監督によれば「とびきり目立つ存在じゃなかった」。それが高校入学直後の健康診断では身長189・9センチへと急成長。それでもまだまだ身体の線は細く、色摩監督は「高校時代は体力面よりも、プレーや精神面で成長してくれた。優しくて真面目な性格で、努力家だった」と振り返る。ひたむきに練習に取り組み続け、高校2、3年時に全国大会のウインターカップで連続準優勝。高校生としては初めて日本代表候補にも選出された。

高校卒業後は米国へと旅立ち、ジョージワシントン大を留学を経てプロ入りした渡辺は、ことあるごとに「初心、謙虚」と繰り返し口にしてきた。この言葉は高校時代に恩師から贈られたもの。色摩監督は「彼に限らず、うちのバスケ部の子どもたちによく言っている言葉。今でもそれを、大事に持ってくれているんだな思う」とうれしそうだった。

昨シーズン終了後に帰国した渡辺は、故郷で2カ月ほど時間を過ごした。その際に自主練習する場所として何度も利用したのが母校の体育館だ。色摩監督は「コロナ禍とあって一緒に練習するわけにはいかなかったけれど、彼の姿を間近で見て、子どもたちが得たものは大きかったはず」。偉大なる先輩に続けとばかりに、後輩たちは今日も練習に励む。【奥岡幹浩】