世界2位の大坂なおみ(23=日清食品)が、苦手の赤土で無難なスタートを切った。センターコートの開幕戦に登場し、同63位のパトリチアマリア・ツィグ(ルーマニア)に6-4、7-6のストレート勝ち。大会前に会見拒否を明らかにしていたが、コート上での勝利インタビューには答えた。2回戦では同102位のアナ・ボグダン(ルーマニア)と対戦する。両者は初対戦となる。

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最後は苦笑いだった。2度目のマッチポイントでバックハンドを決めると、大坂はサンバイザーのつばを押さえ、ほほ笑んだ。「勝てたのは本当にうれしい。今度はもう少しうまくプレーできたら」。言葉少なだが、少しだがきちんとプレーできた自信をのぞかせた。

4大大会の初戦は、トップ選手でも緊張する。大坂にとっては苦手の赤土だ。接戦に持ち込まれたが、最後まで落ち着いていた。武器のサーブこそエースは1本だったが、第1サーブが入れば90%近い高確率で得点につなげた。

第1セットの第2ゲームが勝敗を分けるカギだった。相手のサーブで、1ゲームだけで10分以上かかった。7度のジュースを重ね、大坂が4度目のブレークポイントをものにした。一気に3-0とリードし、そのまま1度も逆転されることなく、最後まで主導権を握った。

大会前に記者会見の拒否を宣言した。しかし、コート上での勝利者インタビューには答えた。地元フランス男子のスター選手だったサントロからテレビのインタビューがあると告げられると、素直に応じた。

最初はテニスや勝敗に関係ない質問だった。「今日は特別な日。(フランスでは)母の日だが」という問いに、大坂は少し笑みを浮かべながら答えた。「私の母も見ていてくれたと思う。世界に向けてハッピー・マザーね」。その後、日本で中継するテレビ局の質問にも答えた。

大会前から、会見拒否で一気に注目を集めた一戦だった。しかし大坂は、しっかりと1回戦を勝ち上がった。前哨戦で3試合しかできなかったことを考えると、まずまずのスタートと言えるだろう。

◆大坂の記者会見拒否騒動メモ 27日に自身のSNSで、「選手の心の健康が無視されているため、全仏での会見を拒否する」と宣言。これに対し、大会を主催するフランス連盟のモレトン会長は「絶対的な誤り」と痛烈に批判。他の選手は、おおむね大坂の気持ちには理解を示しながらも、錦織は「面倒なときもあるが、しなきゃいけないこと」、ナダルも「会見がないと、今みたいな人気者にはなれない」と重要性を説いている。大会やツアーを統括する女子テニス協会(WTA)は、大会開幕前に公式見解は出さなかった。

◆全仏オープンはWOWOWで全日生放送、同時配信される。