体操男子で16年リオデジャネイロ五輪団体総合金メダルの白井健三(24=日体大教員)が現役引退を発表した。16日に神奈川県内の日体大で会見を開き、表明した。

 

【解説】ケガの影響の他に、白井を苦しめたのは採点だった。リオ後に国際体操連盟が示した方針は、採点基準の基本への立ち返り。「腕、脚をまげる、脚を開く」、「着地では踵をそろえる」など、以前からあった出来栄えを示すEスコアの減点項目を厳格に適用することが重視された。その先に計画するAI採点につなぐためには、基準を再確認する必要があった。

白井の超高難度技は、この基準に照らせば減点対象が多くあった。跳躍する際に脚がそろわずに交差した形になる、着地では左右の脚が前後で下りることも。リオまでは難度の影で見過ごされていた部分で減点され、Eスコアで苦しんだ。結果、国内の代表争いでも後れを取っていった。

水鳥男子強化本部長は「一昔前には失敗しないと8点台はありえなかった。そういう固定観念、価値観も大きかった。それがだんだん解けていって、ルールブックに合わせるのが当たり前になっている」と現状を分析する。今でも成功者が続かない技もある「シライ」。難度が異様に高かったからこそ、目立った部分もあっただろう。「白井つぶし」の基準確認ではなかったが、結果的には競技人生を左右することになった。