日本代表(世界ランキング10位)はアイルランド代表(同4位)に31-39で敗れた。歴史的勝利を挙げた19年W杯以来の再戦となったが8点差で惜敗。前半から日本らしい速いテンポでの攻撃を仕掛けてシーソーゲームの展開となり、一時は5点リードする場面もあったが、終盤は過去1勝9敗の宿敵の防御を崩せなかった。欧州遠征でW杯以来のテストマッチ2戦を終えたジョセフ・ジャパンは、負けはしたが強豪相手に成長を示した。

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1年9カ月前の大金星の“再現”とはならなかったが、ジョセフ・ジャパンが進化を証明した。試合後、フランカーのリーチ主将は強豪相手に善戦し「今日の試合は誇りに思う。ただ、勝てた試合に負けた。満足してはいけない。この8点差の学びを23年W杯へ積み上げていきたい」と冷静に振り返った。

前半から代表戦初先発のSH斎藤を軸に、日本らしい速いテンポで互角の展開。試合前のウオーミングアップで先発予定だったNO8姫野が足を負傷してメンバーから外れたが、ホームでの「勝率85%」の強豪の防御を何度も崩した。同35分には、SO田村のキックパスを起点にCTBラファエレのトライで逆転。5点リードの前半終了間際には相手にトライを許し、17-19で逆転された。

後半も新戦力のWTBフィフィタ、斎藤がトライを奪った一方で、FB松島が右足首を負傷し交代。終盤は敵陣での守りの時間が続き8点差で惜敗した。アイルランドは主力7人を6月26日に対戦した全英・アイルランド代表ライオンズに送り出してフルメンバーではなかったことは事実。それでも、姫野、松島と海外でプレーする2人がアクシデントに見舞われた中、ジョセフ・ジャパンは最後まで宿敵を苦しめた。

コロナ禍の影響で19年W杯以降、代表活動ができなかった新生日本代表のテーマは「コネクト」。W杯時のチーム文化を継承し、指揮官は36人の選手たちに主体性を持たせ、新たな「ONE TEAM」を築くことを提唱した。5月下旬からの大分・別府合宿では、選手たちが自発的に動いて同じポジション同士での映像確認や、W杯メンバーと新メンバーによるグローカルグループを作って相互理解を深めた。

強豪10カ国・地域を示す「ティア1」を意識した心構えで臨んだ大勝負。欧州遠征2戦を終えたジョセフ・ヘッドコーチは、連敗はしたが「ポジティブな結果。選手たちを誇りに思う。自分たちのやりたいラグビーを信じてやっていくことが重要」と総括した。再始動した日本代表が再び「ONE TEAM」となった。