東京パラリンピック代表で、世界6位の大谷桃子(25=かんぽ生命)が、初出場のウィンブルドンで日本の女王を破る金星だ。同2位で元世界女王の上地結衣(27=三井住友銀行)に6-3、6-4のストレート勝ち。国際公式戦で、上地に日本選手が勝ったのは、広島で行われた07年ピースカップ2回戦の大前千代子以来、14年ぶりとなった。

大谷は、初めての芝のコートでも、対策を練ってきた攻撃的なプレーで日本女王を圧倒した。「最初なのにしっくりした。好きなコートになった」。上地の課題であるサーブに対し、強打のリターンで主導権を握った。

第2セットには、「国内で練習してきた」アンダーサーブを披露。バウンドしてから球足が滑ったり、弾まなかったりする芝の特性を考慮し、考えてきた秘策だった。10年以上、対日本人無敗を誇った女王を翻弄(ほんろう)し、土をつけた。

大谷は、高校卒業後、病気で車いす生活になった。その前は、一般のテニスで高校総体に出場するほどの腕前だった。一般のテニスでかなわなかった憧れのウィンブルドンに、今年、車いすテニスで初めて出場した。

20年全仏準々決勝で、現・世界女王のデフロート(オランダ)を破った。この日、日本女王で、世界2位の上地を破り、世界のトップ2を、この1年で撃破したことになる。「相手のことを考えてプレーできている」。昨年から急成長を続ける大谷が、東京パラリンピックでも、メダル候補に急浮上だ。

◆ウィンブルドンはWOWOWで全日生放送、同時配信される。