11月に米ヒューストンで行われる卓球世界選手権個人戦の代表選考会が2日まで新潟・新発田市で行われ、東京オリンピック(五輪)の団体戦で補欠だった男子の宇田幸矢(20=明大)、女子の早田ひな(21=日本生命)が代表の座をつかんだ。

宇田、早田は世界選手権シングルスの代表は初めて。男子は他に森薗政崇(26=BOBSON)、戸上隼輔(20=明大)が、女子は芝田沙季(24=ミキハウス)が代表権を勝ち取った。東京五輪のメダリストは無条件で同大会に出場できる。男子の水谷隼(32=木下グループ)は代表権を辞退している。

宇田、早田ともに20年の全日本選手権を制し、世界選手権団体戦(韓国・釜山)の代表権をつかんでいたが、新型コロナウイルスの影響で中止に。その無念を晴らすかのように自らの実力で再び、世界選手権の切符をつかんだ。

宇田は補欠として東京五輪代表チームに帯同。混合ダブルスで金メダルを獲得した日本卓球界のキング、水谷から多くのことを学んだ。「毎試合、水谷選手を見ていた。自分から攻めなくても点が取れる。派手なプレーではないけれど、相手との駆け引きで微妙にずらしたりと、本当に卓球がうまい」と振り返った。

大会中、日本卓球界初の金メダリストとなったキングから「金言」をもらった。関係者が思い思いに混合の金メダルを首にかけ、記念撮影をする中、水谷に「おまえはパリで取るから、かけなくていいだろ」と言われた。その後、首にはかけてもらったが、その言葉が宇田のパリ五輪への思いを強くさせた。

五輪中は代表選手の練習相手やボール拾いなど雑務をこなした。「テレビで見ていたリオと、実際に間近で見られた東京五輪とではわけが違う。より五輪の舞台に立ちたいと思った」と力強く語った。

早田も五輪女子チームの補欠として帯同し、多くを学んだ。ボール拾いなどサポート役に回る中で「サポートしてくれる方々のありがたみを感じ、いつも以上に感謝してプレーするようになれた。結果で恩返しできるようにしたい」と感じた。

親友伊藤美誠(20=スターツ)の緊張を楽しもうとする姿勢や、中国選手の国を背負って戦う重圧などを間近で見て「本当に勉強になった」。中でも最も参考になったのが男子のティモ・ボル(40=ドイツ)だった。

ほとんどの選手が五輪という舞台に、普段の国際大会とは違った表情やウオームアップをする中、ボルだけは「練習をゲーム感覚で楽しみながらやっていた。『五輪でも自分の卓球をすればいい』という心構えが見えた。自分も見習いたい」。

宇田、早田ともに若い。補欠でも東京五輪の舞台を経験したことで貴重な知見を得た。この経験を生かし、将来の日本卓球界を背負っていく。【三須一紀】