北北海道で、単独では5年ぶり出場の湧別が、17年優勝の中標津を40-0で下し、36年ぶりの道大会1勝を挙げた。北見北斗3年時に花園出場経験がある就任6年目の小堀大輔監督(36)のもとで着実に強化。高校から競技を始めた全19選手が一丸で、難敵から無失点勝利をおさめた。

ぬれたグラウンドを物ともせず、湧別が17年王者から6トライを挙げ、勝利をつかみ取った。前半6分、主将のNO8工藤汐夢叶(しゅの、3年)が中央に抜け出し先制トライ。後半には5トライと畳み掛け、40点差をつけた。単独チームで得点を挙げること自体も86年以来35年ぶり。3トライでハットトリックの工藤は「相手の名前におじけづかず、最後まで戦えた結果」と胸を張った。

小堀監督は「6年目で初の勝利です…、感極まりました」と目頭をおさえた。全生徒128人中、現在は選手19人、マネジャー5人の24人がラグビー部と潤沢に部員がいるが、就任当初の16年は3年生7人、2年生3人と小所帯。学校方針として翌年から部員募集を停止する予定だったが、同監督が高校に掛け合い募集を継続。それでも新入部員はゼロだった。

18年からは、同監督が編集したラグビー動画を新入生歓迎会で流し、競技の面白さをアピール。徐々に部員が集まりだしたが、中学までバスケットボール部のNO8工藤も含め、最初は全員が高校から始めた初心者。同監督は「とにかく当たって立ち上がって、また前に出る。そこを大事にした」と、気持ちで引かないラグビーを徹底的にたたき込み、4強進出につなげた。

準決勝の相手は北大会3連覇中の旭川龍谷。バスケットボール部からの助っ人で1トライを挙げたWTB松野斐比希(ひびき、2年)は「新たな歴史に加われてうれしい。バスケでは全国には行けなかったが、ラグビーで少しでも近づけたら」。今度は同高初の決勝進出を狙う。【永野高輔】

◆湧別の北北海道大会成績

美幌との連合チームで出場した18年を含め、過去8回(単独7回)出場。最高成績は80、81、85年のベスト4。最初に4強入りした80年が初出場で、初戦の帯広農戦(40-22)で初勝利を挙げ、準決勝は旭川龍谷に0-61で敗れた。前回勝利した85年は初戦で中標津を11-9で下し、準決勝で帯広工に6-10で惜敗した。