バスケットボールの23年男子ワールドカップ(W杯)アジア1次予選が仙台市で27、28日に行われ、B組の日本は格上の中国に2連敗を喫した。女子日本代表を東京オリンピック(五輪)で銀メダルに導いたトム・ホーバス監督にとって、男子日本代表を率いての船出となった2試合は、専門家の目にはどう映ったか-。バスケットボールコメンテーターの塚本清彦氏に聞いた。

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2試合とも序盤からリードを奪われる展開となったが、今は勝敗について論じる時期ではない。本戦出場のために本気で勝ちにいく必要がある中国とは異なり、開催国枠でのW杯出場が決まっている日本にとって、大事なのは結果ではなくプロセス。W杯やその翌年のパリ五輪に向け、新しい指揮官が戦力を発掘し、育て、見極めていくことが重要となる。

初陣を終えた直後、ホーバス監督は「旅の始まり」と表現した。船出をした日本にとってカギとなるのが、「船頭役」のポイントガードを誰が務めるか。代表実績の豊富な富樫や初招集の寺嶋、岸本など、2試合で6人が起用された。全米大学体育協会(NCAA)1部ネブラスカ大でプレーする富永など、国内外で活躍する選手たちを今後さらに試していくことになるだろう。スピードに加え、瞬時の判断力も、指揮官の理想のバスケを実現する上の重要な要素となる。

3点シュートを多用する戦術を採ろうとしている日本にとって、お手本となる存在がNBAのウォリアーズだ。体のサイズはなくても自由自在にドライブし、誰もが3点シュートを狙い、パスコースを次々と生み出し、相手のマークがついていない選手をつくっていく。そんなバスケを展開する日本代表を想像するだけでわくわくするし、期待が膨らむ。

◆塚本清彦(つかもと・きよひこ)1961年(昭36)2月26日生まれ。兵庫県出身。育英高から明大卒業後、日本鋼管に入社。ポジションは主にポイントガードを務め、日本リーグ優勝2度、93-94シーズンにベスト5。96年引退。明大、法大の監督を経て、現在はテレビやインターネット放送でNBAやBリーグの解説を行う。