日本のソリ競技再生は木ゾリから。日本木ゾリ協会は13日、ソリ競技普及活動の一環として「木ゾリジャーナリスト大会」を長野県爺ヶ岳スキー場で開催した。

代表理事の吉崎雄貴氏(42)は「木ゾリはリュージュ競技の元になっているソリ。たくさんの人に知ってもらって競技を盛り上げたい」と開催意図を話した。

昨年は「第1回全日本木ゾリ選手権」を主催。42人が参加した。木ゾリ無料体験イベントなども企画し、1人でも多くの人に木ゾリの面白さを知ってもらおうと力を注いでいる。

その理由の1つに、日本のソリ競技の「ピンチ」がある。2月の北京冬季五輪で、日本のソリ競技代表はリュージュ男子1人乗りの小林誠也ただ1人。ボブスレーとスケルトンは出場枠を得られなかった。

1998年長野五輪開催時に建設された国内唯一の競技コース「スパイラル」は、2018年平昌五輪後に稼働休止。現在、ソリの強化選手は国内で本格トレーニングができない状況だ。

リュージュはもちろん、ボブスレー、スケルトンの競技すべてに盛り上がりがなければ、環境は整わない。そのための普及活動だ。

「木ゾリ」使用には、もう一つ理由がある。「ナチュラルリュージュ」という競技の存在だ。強化プラスチックを使用する五輪競技の「アーティフィシャルリュージュ」に比べ、ソリの大部分が木製の「ナチュラル」は幅の広いコースを速度制御しながら滑る。欧州ではテレビ放送されるほどの人気があり、ワールドカップ、世界選手権も開催されている。

この競技に注目しているのが、今大会の運営にも関わった高山樹里さん(45)だ。女子ソフトボール日本代表のエースとしてメダル2個を獲得したアスリート。2009年からはボブスレー、スケルトンというソリ競技の選手として活動してきた。

「木ゾリを日本で広めて、ナチュラルリュージュという種目が普及してほしい。オリンピック種目になることを願っています」と、この競技への思いを語った。【高宮憲治】