日本ハンドボールリーグ(JHL)は21日に理事会を開き、24年9月開幕予定の新リーグ参入申請について葦原一正代表理事(45)が記者会見で見解を示した。

新リーグには男女19チームが8月31日締め切りの参入申請を行った一方、現リーグに参加する6チームが申請を見送った。男子では「レミたん」として人気を誇る土井レミイ杏利(32)らを擁し、現在は男子首位を走るジークスター東京が参入せず、今月13日には大賀智也社長が「丁寧な合意形成がなされていない」などと理由を説明していた。

この日の冒頭、葦原代表理事は、参入申請をしなかった6チームの理由を大きく4パターンに分けた。

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〈1〉福利厚生志向(男子=トヨタ自動車東日本)

葦原代表理事「社員の一体感醸成等々を目的にされている。私としても実業団、プロのどちらがいい、悪いではなく、志向にあったリーグ(この場合は新リーグではなく、現行のリーグに残る方)が望ましいと思っています」

〈2〉財務基準未達(男子=ゴールデンウルヴス福岡、女子=ザ・テラスホテルズ)

葦原代表理事「テラスホテルズさんは沖縄でホテル業を営んでいる。コロナの影響で財務的に厳しい状況と報告が来ている。最後の最後、そこがどうしても解決できなかった。ウルヴスさんも支援者を募ったが、難しかったと聞いている。目指す世界は同じだったけれど、状況が整わなかったので、残念な気持ちがあります」

〈3〉財務計画の蓋然(がいぜん)性(男子=湧永製薬、大崎電気)

葦原代表理事「財務計画は、かなり現実に近い物を作らせていただいた。ただし、チーム数や試合数がまだ決まっていない。いったん、仮の状況です。現段階で100%が作れるかというと、今やっていることが精いっぱい。リーグが立ち上がった中で作られていくもので、ある程度、新しいことをやるのはリスクがつき物だと思います」

〈4〉複合型(男子=ジークスター東京)

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ジークスター東京に関しては質問も相次ぎ、葦原代表理事は丁寧に説明を行った。大賀社長の「社員総会で決議するべき」という主張に対しては、JHLの定款に定められている9つの事項以外は決議できず、将来構想は該当しないという。社員総会では決議事項外でチーム関係者に説明したとし、焦点の1つとなる「シングルエンティティ(リーグが一括し全チームの事業運営を担う手法)」に関しても「かなり丁寧に議論をしてきた。1年半近く、20回以上も議論してきて『シングルエンティティに反対』とおっしゃるのは唐突で、正直びっくりした」と素直な思いを言葉にした。

一方、参入申請を行った19チームの思いにふれ「『(現状のハンドボール界では)大きな船が沈んでしまうかもしれない』と危機感を持っていらっしゃる方もいる。議論も必要だが、どこかで実行に移さないといけない。ハンドボール界でも(廃部などが)全く起きないかというと、十分に可能性がある」と前進させていく重要性も説いた。

新リーグ開幕まで残すは約2年。チーム数や試合数の確定、アリーナの確保などを経て、リーグのスポンサー集めなどが本格的に進むと主張し「過剰に(参入申請締め切りを)早くしている認識はない。遅くなるとリスクがたくさんある。『全チームの総意が必要』という話が(現リーグの男女)23チームの大半から出ているのであれば、受け止めないといけない事実。私の認識ではジークスターさんしか、そういったご発言はされていない。選手やファンのためにも、ちゃんとした基盤を早く作らないといけない」とスタンスを示した。【松本航】