東地区の秋田ノーザンハピネッツが、天国にささげる1勝をつかんだ。レバンガ北海道との開幕戦を95-90で競り勝ち、4年連続の白星発進となった。9月29日に前田顕蔵ヘッドコーチ(HC、40)の妻なつ美さんが39歳で逝去。ケビン・ブラスウェルHC代行(43)が率いたチームは、北の大地で弔い星を挙げた。

秋田が特別な一戦で天国に白星を届けた。闘病中だった前田HCの妻なつ美さんが9月29日に死去。その訃報は試合前日の同30日に、選手たちへと伝えられたという。チーム2位の22得点で開幕戦勝利に導いた田口成浩(32)は「顕蔵さん、顕蔵さんの奥さんのために勝てたことが今日の試合のすべてだと思います」。そして「ひとつ勝つことがどれだけ大変なのかもあらためて感じましたし、今日の勝利は特別な1勝になったと思います」と続けた。

試合開始早々の劣勢をはね返した。第1クオーター(Q)序盤に最大9点のリードを許すも、粘り強く食らいついた。12-17の同Q残り56秒、田口が反撃の3点シュート(3P)を決めて2点差。同27秒でも再び3Pを沈め、一気に逆転した。「今日は『空いたら打つ』と決めていたので、その気持ちで乗ることができ、連続3Pになったと思います」。第2Qにはスタントン・キッド(30)、古川孝敏(34)と3連続3Pが飛び出した。

昨季リーグ1位の3P成功率37・8%を誇ったが、この日も「飛び道具」がさえた。秋田は3Pを37本中18本沈めて同48・6%。田口は10本中6本成功したが「打ったシュートは全部決めるぐらいの気持ちでこれからやっていきたいです」。新戦力のキッドは3P5本を含むチームトップの29点を挙げ、シュート全体の成功率は驚異の92・3%をマークした。

試合後、前田HCからブラスウェルHC代行のもとに「素晴らしい試合だった。Good Job」と電話があったという。同代行は「前田HCにとって人生で一番つらいときなのに、自分に感謝の気持ちを伝えてくれて、本当に強く、素晴らしい人間だと思います」。前田HCが帰ってくるその日まで、秋田はチーム一丸で戦う。【山田愛斗】