川村萌斗(新潟・開志学園2年)が浜田未来(青森・弘前工3年)に2回25秒RSC勝ちし、3月の全国選抜大会同級に続いて2つ目の高校タイトルを獲得した。

目頭が熱くなった。川村は試合後の控室で、先輩のライトウエルター級六井和(開志学園3年)とミドル級斎藤総真(同)に祝福を受けると思わず涙を流した。「うれしいのと、先輩たちが引退する寂しさがあって…」。決勝までたどり着けなかった2人の思いも背負って国体優勝を決めた。

冷静だった。1回終了間際、得意の左ストレートをカウンター気味に決めて最初のダウン。2回は開始から打ち合って2度目のダウンを奪うと、再開直後に左ストレート。すぐにレフェリーがストップした。

「1回のダウンの後、ゴングが鳴るまで打ち合ったら、行けると感じた。2回は最初から仕掛けようと思った」。浜田には全国選抜の決勝でも1回RSCで勝っている。この時は開始から打ち合った。今回は的確な距離を取り右のリードを出す。タイミングよくワンツーをヒット。相手の動きを見ながら落ち着いて試合を仕切った。

2年生で全国選抜を制し、注目の中で臨んだ8月の全国高校総体は準々決勝で敗退。「あの後、とにかく練習した。追い込んだ」。課題だったオーソドックスの選手のフックをさばくフットワーク、勝負どころの見極めを意識してスパーリングを重ねた。全国総体の敗戦の動画を繰り返し見て、克服に努めた。仁多見史隆監督(47)は「自分で修正しながら戦っていた。安心して見ていられた」と成長ぶりをたたえた。

2年生で2冠を獲得。最高学年になる来年は全国3冠が視野に入る。「目の前の試合に全力を尽くすだけ。その先に優勝があると思う」。浮かれることなく、足元を固めて進んでいく。