バスケットボール女子日本代表で、今月にギリシャリーグのエレフテリア・モシャトウに移籍したオコエ桃仁花(23)が14日、日刊スポーツの単独取材に応じた。今月5日に欧州へと飛び立ったあと、日本メディアに対応するのは初めて。移籍を決めた経緯や、現地でのデビュー戦などについてたっぷり語った。3回に分けてお届けする。(聞き手・奥岡幹浩)

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日本との時差6時間。朝10時のアテネ郊外からオンラインで取材に応じたオコエ桃仁花は、いつものように、明るくにこやかだった。

「日本語を話すのは久しぶりです(笑い)。電話で話したりすることもなかった。LINE(ライン)での連絡で日本語を打つことはあったとはいえ、こっちに来てから1週間ぐらいはずっと英語。なので、頭がカチコチになっています(笑い)」

欧州デビューとなった9日の開幕戦では、約28分間プレーして4得点、5リバウンドをマーク。ベンチスタートながらも試合開始後すぐにコートに投入され、いきなり長いプレー時間を与えられた。

「到着して1日練習して、次の日に遠征と試合。代理人の方を通じて『プレータイムを調整してください』と伝えていたんですが、開始2分ほどで交代出場することになって『おお、まじか』と(笑い)。それでも、チームから求められているんだなと感じました」

チームごとに異なる、フォーメーションを使った複雑なプレーはまだ頭に入っていなかった。それゆえ得点に絡むシーンは少なかったものの、「できることをやろう」とリバウンドや守備で奮闘した。

「(攻撃に関しては)『とにかくコーナーに立っていろ』と言われていたので、コーナーに立って邪魔しないような動きをしていました(笑い)。それでも終盤にドライブを決めることができた。あのシュートは、このリーグでやっていけるのかなと思える1本になりました」

日本ではなじみの薄いギリシャ・リーグ。レベルや特色をどう感じているのか。

「まだ1試合しかやっていないので、レベルについてはなんとも言えないのが正直なところ。ただ、日本では味わえないフィジカル面の強さを感じました。試合中に鼻を折ったり血を流したりしていたチームメートもいたけれど、それがこのリーグでは当たり前だと聞いて。私も終わったらあざだらけでした」

五輪やW杯などの国際試合で味わうような激しさ。それを毎週のように経験することは、着実にレベルアップに結びつく。そして海外での試合を重ねることで、自身のプレーの引き出しも増やしていくつもりだ。

「日本だとガード選手のパスのおかげでスペース生まれ、得点できていたという部分があった。でも海外のリーグでは、そういう面も自分で作り出す必要がある。積極的にドライブを繰り出し、得点に絡んでいかないといけない。そういう意味では、新しい自分を出すことにつながると思います」

14日の欧州カップ予選は当初の予定通り出番はなかったが、日本時間16日午後8時開始のリーグ戦には出場する見込み。シーズンはまだ始まったばかり。激しい戦いを重ね、さらなる成長を遂げていく。(中編、後編は後日公開)

◆オコエ桃仁花(もにか)1999年(平11)2月7日、東京・東村山市生まれ。母の影響で小学6年からバスケットボールを始める。東京・明星学園高から17年にWリーグのデンソーに加入。19年に富士通へ移籍した。日本代表として21年東京五輪銀メダル獲得に貢献。今秋のシドニーW杯にも出場した。今年10月にギリシャ・リーグのエレフテリア・モシャトウに移籍。プロ野球・東北楽天ゴールデンイーグルスのオコエ瑠偉は実兄。身長182センチ。背番号99