柔道のグランドスラム(GS)東京(3日から東京体育館)の前日取材対応が2日、都内で行われ、昨夏の東京オリンピック(五輪)男子81キロ級で金メダルに輝いた永瀬貴規(29=旭化成)が、母校の大先輩から受けた刺激を口にした。

長崎市出身で、サッカーFIFAワールドカップ(W杯)で日本を2大会連続の決勝トーナメントに導いた森保一監督(54)は母校・長崎日大高のOB。ドイツ、スペインを連破する快挙に「競技は違いますけど日本を背負って戦っている代表。格上と呼ばれた相手に連勝した姿は刺激になりましたし、私も負けずに、日本の国旗を背負って戦えることには喜びを持ちつつも、代表の自覚を持って明日の試合(81キロ級は3日)に臨みたい」と抱負を語った。

森保監督については「どんな状況でもポジティブな言葉を発している」と印象を語り「言葉から行動が変わる、ではないですけど、ポジティブな言葉や考えは重要だなと思わされました」と触発されていた。

昨年3月、森保監督が7大会連続のW杯出場を決めた時にも「他競技ですが、地元の大先輩が活躍されている姿は、とてもいい刺激になっています。ともに世界で活躍できるよう頑張りたい」と話していた。

高まった意欲を胸に、日本開催では過去4度の優勝を誇るGSに向けて「シニアデビューして思い入れのある大会。優勝することで(2連覇が懸かる24年)パリ五輪に向けて弾み、いい流れをつくれるのでは」と優勝を思い描く。

10月の世界選手権(タシケント)では、まさかの3位。言葉通り、パリ五輪へとつながる来年5月の世界選手権に向けて、今大会は代表選考において重要な意味を持つ。

「私なりに短い期間で準備してきた。このGS東京を勝つことで、パリであったり、まずは来年の世界選手権が大きく近づくと思っています。ターニングポイントと言っていいくらい、重要な大会だなと理解しています」

その世界選手権の開催地は、いま歓喜に沸くカタール・ドーハ。自身は金ゼッケンを背負う柔道家として世界中から追われる立場だが、抜かることなく頂点を目指す。【木下淳】