2030年の冬季五輪・パラリンピックの招致を目指す札幌市が、撤退する可能性も示唆した。20日、都内で秋元克広市長(66)と日本オリンピック委員会(JOC)の籾井圭子常務理事が、招致に関する今後について会見した。

東京五輪に関する汚職事件を受け、秋元市長は「前の意向調査は市民、道民だけだったが、全国もしなくてはいけない」と国民に対して開催の民意を問いたいとした。「招致活動を断念したわけではない」と言うが、結果によっては、招致撤退をもにおわせる「民意を尊重する」という言葉を、何度も繰り返した。

広告最大手電通出身の東京五輪組織委員会元理事を中心とした、東京五輪の汚職事件が8月以降次々と明るみとなり、芋づる式に逮捕者が出た。6日、国際オリンピック委員会(IOC)は30年冬季五輪の開催地決定を、当初予定していた来年9~10月から無期限で延期することを決定した。

それを受けてこの日、札幌市とJOCは、(1)競技運営で特定の代理店へ依存していたあり方を見直す(2)イベント開催など積極的な機運醸成活動は当面休止(3)あらためて民意を見直す、の3点を招致の進め方への見直し案として打ち出した。

秋元市長は「大きく状況が変わったと理解している。修正改革案を示さないと国民の理解を得られない」と力説。招致に向けた具体的な改革案を22年度内には作成し、早いうちに公表する予定だ。同案を示した後に、時期や手法は未定だが国民の意向調査を行いたいとしている。【吉松忠弘】