男子シングルスで桃田賢斗(28=NTT東日本)が2年ぶり5度目の日本一に輝いた。決勝で西本拳太(ジェイテクト)をストレートで下し、22年初優勝となった。女子シングルスは世界選手権2連覇中の山口茜(再春館製薬所)が4年ぶり4度目の優勝。ダブルスは男子が保木卓朗、小林優吾組(トナミ運輸)、女子は福島由紀、広田彩花組(丸杉)、混合は金子祐樹、松友美佐紀組が制した。

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息詰まる54分間の攻防に決着がつくと、桃田はコート上で大の字になって勝利に浸った。西本との同学年対決を制し、「この1年間、本当に苦しいことばかりだったけど、今日は納得のいく試合ができたかな」。

昨夏の東京五輪でまさかの1次リーグ敗退。その後も不振は続き、特に今年はトーナメント序盤に姿を消すことが重なった。自国開催となった8月の世界選手権(東京)も2回戦で、9月のジャパンオープン(大阪)は初戦で敗れた。

巻き返しを期すため今秋は海外ツアー参戦を見送り、国内に残って再強化。世界ランキング上位選手に出場が義務づけられた2大会を欠場したことで、計100万円以上の罰金を大会主催者に支払うことになったが、それでも心身を鍛え直すことを優先させた。

その効果があり、今大会では全盛期をほうふつとさせる動きを随所に披露。持ち前の守備力も戻りつつある。「『桃田の時代は終わった』『バドミントンをやめろ』といった声もネットにはあった。でも、まだまだバドミントンを続けたい。もっともっと強い桃田賢斗をみせていきたい」。パリ五輪選考レースが始まる23年は、さらなるV字カーブを描いていく。【奥岡幹浩】