前年優勝のSC軽井沢クラブに土を付けた北見協会(キットカーリングクラブ)が通算7勝1敗とし、直接対決の結果で1位通過を決めた。

無敗だった王者との白熱の攻防を制した直後も、スキップ平田洸介(30)は「あくまで優勝を目指してきた」と満足してはいない。前年度はワイルドカードから臨みベスト4。今年は頂点を目指す。

北海道・北見北斗高出身の平田は、花園出場経験を持つ元高校ラガーマン。後輩たちは昨年暮れ、自身が高校2年だったとき以来13大会ぶりの花園出場を果たした。聖地のスタンドから応援した平田は、後輩たちのプレーに「めちゃくちゃ刺激を受けました」。

小柄な選手が多い母校ラグビー部の選手たちは、留学生も所属する対戦相手の大柄な選手たちにひるむことなく向かっていた。その姿を平田は、自身のカーリングチームに重ね合わせる。「うちのチームも160センチ台の小柄なメンバーが多い。それでも、コンサドーレのように長身選手がそろうチームにも気後れすることなく挑んでいかなければならない。そういうところで、かぶる部分があるかな」。奮闘及ばず初戦で敗れた母校ラグビー部の分まで、日本一を決める氷上でトライを重ねる。

北京五輪銀メダルのロコ・ソラーレでスキップを務める藤沢五月は、同じ高校の1学年先輩にあたる。「向こうは僕のことを覚えていないだろうけれど」と笑いつつ、「僕は五月さんのことをよく覚えています。当時からすごく有名な選手だった。北見のリーグ戦などで何度か対戦させてもらったことがあった」と振り返る。

当時から鮮やかなショットを次々と決める藤沢のプレーを目の当たりにし、「こういう人が将来、日本を背負って世界に出るのかなと思った。憧れの先輩でした」。

カーリングは小学生のときに始めた。北見工大、同大学院を卒業後、SC軽井沢クラブに加入。18年平昌オリンピック(五輪)ではリザーブとしてチームを支えた。その後は地元北見に戻り、キットカーリングクラブを立ち上げた。男女のカテゴリーは異なれど、藤沢同様にスキップとしてチームを率い、日本一を目指す。

「五月さんは今でも追いかけている存在ではあるけれど、同じ舞台に出て、同じように優勝を狙っている身でもある。先輩に負けじと頑張っていきたい」。

大会もいよいよ終盤。国内ではどうしても女子が注目されがちだが、男子の戦いも熱い。【奥岡幹浩】