角田夏実(30=SBC湘南美容クリニック)が大会3連覇を遂げた。日本女子では田村亮子の6連覇、阿武教子の4連覇に3人目の大記録となった。

初戦の2回戦から5試合オール一本勝ち。代名詞の技ともえ投げを軸に、関節技や絞め技でポイントを量産。準決勝はメンツ(ドイツ)を技あり2つの合わせ一本で退け、決勝では世界ランキング1位で22年無敗のシリヌ・ブクリ(フランス)に、ともえ投げで2分36秒、一本勝ちした。

右足で蹴り上げ、左足で空中の相手をコントロールする熟練の技で仕留めた。優勝の瞬間も笑顔はなかったが、相手との健闘をたたえ合った場面、そして畳を降りた時に、ようやくほおを緩めた。

「とりあえずホッとしてます。ここで負けてしまったら結局今までと一緒でアピールできないなと思ったので、しっかり勝ち切ってアピールできて良かった」

161センチの長身。かつては52キロ級で、ジャカルタ・アジア大会や世界マスターズ広州大会(ともに18年)で優勝した実力者だった。19年10月に東京オリンピック(五輪)を目指して48キロ級へ。自国開催の大舞台は逃したものの、同じ21年の6月に行われたブダペスト大会から世界選手権は3年連続で優勝した。

この日も、全5戦で1度も延長戦に持ち込ませない完璧な内容で追う他国勢を突き放し、前年の世界女王だけが背負える赤ゼッケンを守った。

「不安も多くて、どう調整しても、ずっと不十分な感じがしていたので、しっかり結果を出せたことが良かった。これを第1歩にして、次につなげたいと思います。(一番したいことを聞かれ)温泉に行きたいと思います。体が悲鳴を上げているので、休みたいと思います(笑い)」

全日本柔道連盟が強化システムを改定し、早ければ来月にも24年パリ五輪代表が内定する道筋ができた。研究されている中で、ともえ投げも寝技もさえて、世界3連覇をオール一本で彩った30歳。最速内定を得るにふさわしい成績を中東ドーハで残した。【木下淳】