ブザービーターを決めた比江島慎(32)にベンチを飛び出した渡邉、ヤン、そしてジェレットが抱きつく。これぞブレックス、これぞバスケット。宇都宮ブレックスが、シーズン最終戦で今季のベストともいえる戦いをみせた。

「シュートのタッチが良かったし、今日の僕だったら決められる自信はあった」(比江島)

第4クオーター(Q)残り10秒で80-80。直前にタイムアウトを取ったチームは、エースにすべてを託した。周囲の援護もあり、一瞬フリーになった比江島は左45度からジャンプシュート。ゴールインとほぼ同時に、試合終了のブザーが鳴った。

「ああいう時間帯は自分の仕事。最後に決め切れてよかった」。チーム最多の26得点を振り返った比江島は、こうも言った。「相手に流れが行きそうなところをチームとして対応できたのが大きい」

リーグの最高勝率記録を塗り替えた千葉ジェッツに突き放されそうになるたびに耐えた。第2Qには、高島紳司(22)が日本代表の富樫からボールを奪い、3ポイント(P)シュートを決めた。第3Qは渡邉裕規(35)の2つの3Pなどでくらいつき、第4Qも高島や遠藤祐亮(34)の3Pでシーソーゲームに。「流れの悪いところを我慢して我慢して、最後の最後にチームがまとまった」。比江島は勝因をこう分析した。

ディフェンディングチャンピオンとして迎えた今季。ライバルたちの対策が進んだことや、外国人の入れ替わりやケガなどもあり、Bリーグになってから初めてチャンピオンシップ(CS)出場を逃した。しかし、シーズン終盤に攻守のリズムがかみ合うようになり、最後の10試合は6連勝を含む8勝2敗だった。

栃木県内での開催試合記録更新した5425人のファンの前で、主将の田臥勇太(42)は「まだシーズンを終えたくない。来週も試合がしたい」と言った。比江島も「もしCSに出ていればおもしろいところまでいけたかな」と続けた。

「こういう終わり方ができたのは良かった。(シーズン通しての)結果は非常に悔しいが、誰ひとり投げ出さず、最後までしっかりやり遂げられたことは誇りに思う。必ず、次につながる」(田臥)

最後まであきらめず、成長を信じて前に進む。ブレックスのチームメンタリティーを見事に体現した最終戦であり、そして、シーズンだったのかもしれない。【沢田啓太郎】

佐々宜央(さっさ・のりお)ヘッドコーチ(38)の話 選手全員がそれぞれの役割を果たしてくれた。これで終わってしまうのが残念。CSの可能性がなくなり、普通だったら気を抜いてもおかしくないが、選手たちは最後までプライドをもって戦ってくれた。今の複雑な気持ちを忘れず、来季につなげてほしい。