皆川康介(新潟第一3年)が塚野鎌(帝京長岡3年)に延長戦の末、僅差で勝利し、男子81キロ級を制覇した。100キロ超級では井上渓翔(帝京長岡3年)が水沢知紀(2年)に技ありで優勢勝ちし、優勝を決めた。

最後は粘り勝ちだった。「投げるというより、勝ちにこだわって戦った」と皆川。延長戦に突入すると果敢に技を仕掛けた。最終的には相手、塚野の指導を誘い、僅差で勝利をつかみ取った。「指導でも何でも、という思いだった。最後まで抜かないでやりきれた」と自身初の全国切符を喜んだ。

この大会に懸ける思いは人一倍だった。「実は実戦復帰して、まだ1週間しかたってないんです」。昨年8月の新人戦後に右膝半月板を損傷。「かなり悩んだ」と言うが、同年12月に手術を決断。3月に控えていた全国高校柔道選手権新潟大会への出場を断念した。「しっかり治して、ワンチャンスをものにする」と最後の高校総体に狙いを定めていた。

リハビリ期間は徹底的に体を強化した。「今、自分に必要なことは何かと考えた」と上半身のウエートトレに加え、独学で栄養学も勉強した。「このけがで周りと差が出来ないように頑張った」。その地道な努力が結果として返ってきた。念願のインターハイ出場を決め、「(目標は)もちろん優勝です」。大けがから復活し、逆境を乗り越え、初の全国舞台での躍動を誓った。【大島享也】

 

○…100キロ超級で優勝した井上は、どうしても負けられなかった。81キロ級の優勝候補で同僚の塚野錬(3年)が決勝で敗れるのを見ていた。前日2日の団体戦は悔しい準優勝。個人戦決勝に臨む前の2人は斎藤晃一監督(51)から「何よりも悔しい負け方は決勝敗退。同じ思いをするな」とゲキを飛ばされていた。その言葉を胸に開始1分44秒、相手が仕掛ける技を返して小外刈りで技あり。同校5年ぶり(4大会ぶり)の個人戦王者になった。井上にとっては中高通じて初の全国切符。「体力は負けない。あとは気持ち」と全国へ181センチ、115キロの身体に気合を再注入していた。

 

【男子各階級優勝者】

▼60キロ級 加藤望和(開志国際)

▼66キロ級 室川翔太郎(同)

▼73キロ級 菅井真斗(同)

▼81キロ級 皆川康介(新潟第一)

▼90キロ級 冨山樹(開志国際)

▼100キロ級 新妻颯斗(同)

▼100キロ超級 井上渓翔(帝京長岡)