21年世界女王の藤波朱理(19=日体大)が、目指す24年パリ五輪(オリンピック)に“王手”をかけた。

決勝で清岡もえ(19=育英大)を10-0のテクニカルフォール勝ちで退け、大会3連覇。1つ上の非五輪階級55キロ級で日本一となった同い年の難敵だったが、ものともしない。中学2年の17年9月から続ける日本協会公認の連勝記録を122まで伸ばしても、マット上では笑顔はなかった。

昨年末の天皇杯全日本選手権を制し、この明治杯も優勝すれば世界選手権(9月、ベオグラード)代表に決まる中、決勝でも無失点という強さで出場権獲得。さらに同大会で表彰台に立てば、パリ五輪代表に決まる。夢へ大きく前進した。

前日は、準々決勝で21年東京五輪金メダルの志土地(旧姓向田)真優(25=ジェイテクト)にフォール勝ちしえいた。「倒したいと思って頑張ってきた選手」と直近の五輪女王に照準を定め、挑戦し、世代交代を決定づけた。

本人は無関心も、注目される連勝記録は更新。119で並んでいた五輪3連覇の「霊長類最強女子」吉田沙保里を抜き、さらに準決勝も難なくクリアして121連勝とし、この日の決勝に駒を進めていた。

「無敗でパリまで行って金メダルを取りたい」という大目標へ、次は21年の初出場V以来(22年は負傷欠場)となる世界選手権に挑む。銅メダル以上で夢舞台の切符はつかめるが、連勝街道の中で新女王には、いつも金しか見えていない。

◆藤波朱理(ふじなみ・あかり)2003年(平15)11月11日、三重県四日市市生まれ。4歳から開始。中学2年の全国大会(17年6月)決勝で伊藤海に敗れて以来、公式戦全勝。いなべ総合学園高3年時の21年世界選手権で初出場優勝。昨春、日体大進学。父は88年ソウル五輪代表候補の俊一コーチ、兄は総合格闘家の勇飛(27)。164センチ。

◆レスリング女子の日本人連勝記録 吉田が119連勝。01年12月、山本聖子に敗れた試合を最後に08年1月のW杯団体戦で負けるまで継続した。この団体戦を除けば個人戦は206連勝。五輪4連覇の伊調馨は負傷の不戦敗を除くと03年から16年まで189連勝。

◆世界代表選考 昨年12月の天皇杯全日本選手権優勝者が、明治杯も制すると世界選手権代表に決定。勝者が異なれば7月に代表決定プレーオフを行う。五輪階級は世界選手権3位以内でパリ五輪代表に決まる。