全日本柔道連盟(全柔連)は28日、都内で評議員会と臨時理事会を開いて役員を改選し、山下泰裕会長(66)の退任と中村真一副会長(64=日本製鉄元副社長)の昇格を決めた。

中村新会長は「レジェンドである山下前会長の後任を務める重責に身の引き締まる思い。柔道界の発展のために努力していきたい」と所信表明した。運営に当たっては「宗岡正二元会長から山下前会長へ受け継がれた『変えるべきところは変え、変えてはならないものは守り抜く』の精神を堅持し、ガバナンス強化、すなわちコンプライアンス順守の徹底とリスクマネジメント体制の継続的な強化に努めたい」と話した。

福岡・飯塚市生まれ。小学生の時からの柔道家で「飯塚市立第一中学校から福岡県立嘉穂高校。ただし、高校時代は応援する立場でした。当時の嘉穂高校はインターハイを2連覇していたほどの強豪で、山下前会長の(神奈川)東海大相模高に3連覇を阻まれたほど。とても、ついていけないと思って高校では応援していた。その後は東京大の柔道部に入り、新日本製鉄八幡製鉄所、本社でも柔道部。30歳くらいまで実業団の試合に出ていましたが、成績として誇れるものはございません」と笑顔で語った。

抱負については「社会に貢献し、社会に信頼される柔道界にしたい。特効薬のような施策はないが、雲をつかむような話でもない。(冊子を示しながら)全柔連発行の『MIND』。ここには、広く種をまいた、小さな成功例が山ほど掲載されています。組織的に育て、実らせ、刈り取ることが私の役割です。普及振興に向けて継続的に、しかし変えていくべきは変えていく。こういう思いであります」と力を込めた。【木下淳】