前回女王の京都精華学園が岐阜女を63-59で下し、大会2連覇(2度目)を遂げた。今季はインターハイ(全国高校総体)とU18日清食品トップリーグも制しており、男女を通じて初の「新3冠」達成チームにとなった。

わずか4点リードの残り1分8秒、京都精華学園の世代別日本代表フォワード八木悠香(はるか、3年)がゴール下に走り込む。その瞬間、司令塔の堀内桜花(さくら、3年)から最高のタイミングでパスが入った。中高一貫校でずっと一緒に過ごしてきた連係で突き放す。主将も務める堀内は「これまで悪いパスもあったけれど、全部受けてくれた。6年間の『ありがとう』の思いを込めてパスを送った」。あうんの呼吸でもぎ取ったゴールは、頂点へ貴重な追加点となった。

最大16点差が1点差まで詰められた。それでも逆転だけは許さない。勝利のブザーが響くと全員が抱き合って喜んだ。2連覇、そして男女を通じて初の新3冠だ。八木は「苦しい時も、みんながいたから頑張れた」。中学2年でナイジェリアから来日したディマロも含め、大半が付属校出身。中学時代から全国と渡り合ってきた堀内、八木、ディマロは高校で3年連続の決勝を経験し、総得点63のうち52を3人で稼いだ。結束力の集大成に堀内は「6年間の最後の試合で、全員で日本一! めっちゃうれしい」と笑みがはじけた。

前年にウインターカップで初優勝した後、今季も夏のインターハイと秋のU18日清食品トップリーグを制した。タイトルを取り続けるほどライバル校からのマークは厳しくなる。校長も兼ねる山本綱義監督(73)は「四面楚歌(そか)」と表現し、重圧の大きさを吐露していた。そこから選手を解放すべく、決勝前に語りかけた。「失敗してもいい。今日は自分たちのバスケを思い切りやろう」。硬さのあった選手が吹っ切れたように躍動して応えた。

苦しんで手にしたからこそ、その価値を強く実感できる。「重かった。2連覇という言葉を聞くたびに体が震えます。子供たちが全力で臨んでくれた。自慢の娘たちです」。理事長まで務める指揮官は、長く見続けてきた教え子たちを心からたたえた。【奥岡幹浩】

◆テレビ放送 男子決勝は29日午後1時からテレビ朝日系で生放送

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