川越東(埼玉)が2度目の挑戦で花園初勝利を挙げた。倉敷(岡山)に22-13で勝利。進学校で、部員の半数が年明けに大学入学共通テストを控える中、一丸ラグビーが光った。共同主将の1人、プロップ寺山公太(3年)は模試の英語で全国1位になったほど学業優秀。元アメフト日本代表の父裕樹さん(52)に雄姿を届けた。

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背番号1、寺山が川越東をリズムに乗せた。体を張って前線を守り、隙を突いた鋭い突進も見せた。花園初勝利を決め、もう1人の主将、高尾らと喜んだ。

進学校で平日の練習は2時間。学業と練習の厳しいタイムマネジメントと戦ってきた。3年生の半分は受験勉強まっただ中だ。寺山は今年、全国模試の英語で全国1位をとった。父の転勤で小学校の5年間、香港で過ごし「英語は得意です」。学業で筑波大に推薦入学が決まったため、仲間の負担を減らそうと勉強に付き添ったり、相手の研究をしたりと陰でも支える。

観戦した父裕樹さんは「成長しましたね。主将としても、見ていて安心感があります」と息子の晴れ姿に目を細めた。早大、アサヒビールで活躍した元アメフトのトップ選手。ライスボウル制覇、日本代表で世界選手権優勝の実績を持つ。海外勤務が長く、埼玉県予選の決勝は、韓国から日帰り観戦した。今回は3回戦まで観戦できるという。

寺山は小、中学生のころから「どういう気持ちで試合に臨むのか」「どうやったらチームをまとめられるか」などと父を質問攻めにした。離れていてもLINEで相談。「自慢の父です。常に僕の見本でいてくれました。いろいろなことを、ずっと教えてもらってきました」と、あらためて父への感謝を口にした。

目標は3回戦以上を意味する「花園で年越し」。30日の2回戦は光泉カトリック(滋賀)と対戦する。文武両道フィフティーンの戦いは終わらない。【柏原誠】

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