前回準優勝の福岡第一が、福岡大大濠との“福岡決戦”を制し、4大会ぶりの頂点に立った。福岡大大濠は同県のライバルに苦杯を喫し、2大会ぶりの制覇とはならなかった。

福岡大大濠の片峯聡太監督(35)は「受け身になってしまったのが悔やまれる。ただ、今大会を通して成長できた。この悔しさを次に生かしたい」と前を向いた。

先に決勝進出を決めた前日には、「(福岡)第一さんとやることになれば、眠れないと思う」と話した。その組み合わせが現実となった前夜は、やはりなかなか寝付けなかった。ようやく眠りにつけたのは午前2時ごろ。「5時に起きたので、睡眠は3時間ぐらい。ヤクルト1000を3本飲みました。腸内環境はいいんすけどね」と冗談めかした。

ライバル校との頂上決戦を待ち遠しいと思う気持ちと、不安な気持ちが交錯した。

「小学生のころの、運動会前夜のようなわくわく感と、注射の順番を待っているような気持ちが入り交じったような…。脳が覚醒状態になっていた」

30代半ばながら、母校を率いて13年目。若き指揮官にとって、福岡第一の井手口孝監督(60)はどのような存在か。

「バスケットのこともそうだし、組織の動かし方についてもたけている方。知識と経験に基づき、目の前のことだけでなく俯瞰(ふかん)的な視線でいろいろなことを進めていく。だから、いろいろなことへの対応力がある。一方でぶれずに突き進んでいく力もある。すごい人。本当に尊敬しています」

4年ぶりに決勝で同県対決が実現し、あらためて福岡県勢のレベルの高さが示された。その強さの要因として片峯監督は、地元の小中学生世代を指導する人たちの熱意が大きいと実感を込める。

今大会の福岡大大濠は、スタメン5人のうち2年生以下が4人。伸びしろはたっぷりある。経験と悔しさを糧に、チームはさらに強くなる。【奥岡幹浩】