世界選手権3連覇中の坂本花織(24=シスメックス)が3年ぶり3度目の優勝を飾り、2連覇がかかるGPファイナル(12月、フランス・グルノーブル)進出を決めた。

首位発進したSPに続いてフリー152・95点、合計231・88点とし、いずれも今季世界最高得点。千葉百音が2位、青木祐奈が3位で続いた。NHK杯での日本女子の表彰台独占は変則開催だった20年を除き、08年以来16年ぶり。GPでは10月のスケートカナダに続いて今季2度目となった。男子は鍵山優真が2連覇。ペアは三浦璃来、木原龍一組が2位に入り、ファイナル進出一番乗りとなった。

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「前半からぶっ飛ばしていこう」。坂本が力いっぱいに舞った。全7本のジャンプを降り、ただただ踊り続けていく。自ら「ハード」と評するプログラムをやり遂げ、22年世界選手権での自己ベストまで4・21点と迫る高得点。自身18戦目となったGPで初めて230点を超えた。「後半まで持たせる」という戦略を捨てて攻め抜き「守りに入るのは自分らしくない」とうなずいた。

今季の新フリー「シカゴ」はブロードウェーミュージカルのジャズの楽曲。ジャンプの前後も全身で踊り続け、悪女を表現する。5月に振付師のマリーフランス氏から提案された時は「チャンピオン向きの曲」と背中を押された。「できる気がしない」と1度は断ったが、7月から再挑戦。新たな3連続ジャンプも組み込み「これを乗り越えれば、もう1段階強くなれる」と腹をくくった。

ただ、初めて曲を通すと「ぐっちゃぐちゃのバラバラ」と大苦戦。10月のスケートカナダでは持ち前のスピードが影を潜め、2本のジャンプで転倒した。優勝こそしたが、記念撮影では口を真一文字に結び「偽りの笑顔」と言い捨てた。昨季はミスのない練習が積めていたが、今季フリーではクリーンに通すことができていたのは2~3日に1回。「『これだけやったから大丈夫』と思えるぐらいやりこまないと自分はできない」と気付かされた。

帰国後から今大会までの2週間弱。数えきれないほど曲を通し「かけ続けたらできる」と不安をかき消した。この日の公式練習でも、ほとんどの選手がジャンプのみの確認に終始する中、坂本だけは跳び終えた後の振り付けまで確認。それが結果に結びついた。「気負わず攻めの姿勢でいけた」と誇った。

GPファイナル、4連覇がかかる12月の全日本選手権では日本勢もライバルとなるが、敵は自分自身を見立てる。「人と比べず、自分のベストを更新していけるように」。深まっていくミラノ・コルティナダンペッツォ五輪のプレシーズンを、全速力で駆け抜けていく。【藤塚大輔】

◆GPシリーズ 95-96年シーズンに「チャンピオンシリーズ」の名で開始。98-99年シーズンに「グランプリシリーズ」に改称。ロシア、カナダ、中国、日本、フランス、米国などで開催されてきた。例年10月から11月にかけて6週連続で6大会が行われ、各選手(組)最大2大会への出場が可能。順位に応じたポイントの合計で、上位6人(組)が、12月に開催するGPファイナルに出場する。