近年、ラグビー界で認知度急上昇中のロゴがある。
IMON。
リーグワン1部の東京サントリーサンゴリアス(東京SG)、関東大学対抗戦の慶応大などのジャージーに記され、チームは活動のサポートを受けてきた。
そんなIMONとラグビーのつながりを知るため、日刊スポーツは井門グループの井門義博社長(69)に思いを聞いた。後編はラグビーを通して得られるものを取り上げる。【取材・構成=松本航】
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なぜ、東京SGのパートナー企業となったのか。
井門社長は4人の息子の父。きっかけは体が大きかった次男だ。鉄道に興味を持つ息子を、ラグビーの世界へといざなった。学習院中等科から、高等科、学習院大へと進み、高等科から次男の2学年先輩となったのが東京SGのWTB江見翔太(34)だった。
自身が20年ほど続けているブログを見た縁で、関係者から東京SGのサポートの打診を受けた。
会場へ足を運ぶたびに大きな声援を送り、江見の近況を気にかける。
「サンゴリアスはもっとスピードあるパス回しを見たくなるね。ちょっと“普通っぽい”気がする。サンゴリアスらしく、攻めている方がきっと楽しいはずです」
縁は広がっていく。江見の応援で息子とスタジアムへ向かうと、帰り際に神奈川タマリバクラブのメンバーから声をかけられた。息子が在籍した学習院高等科を指導していた教員がタマリバクラブでプレーしていた縁もあり「うちも応援してください」と依頼を受けた。
「すぐに『イエス!』と言ってしまったよ(笑い)」
大学、リーグワン、クラブチーム…。さらには最近、高校生への支援も始めた。
株式会社STEAM Sports Laboratoryの部活動支援プラットフォーム「コーチクエスト」。スマートフォンのアプリに目標設定・探究・振り返りを行うAIコーチを搭載し、生徒の主体的な部活動運営をサポートし、定期的にオンラインでのライブコーチングを実施している。ラグビーではクボタスピアーズ船橋・東京ベイのSO岸岡智樹(28)が隔週で登場し、全国のラグビー部員に向けてオンラインでのコーチングを行う。
競技を問わなければ、登録者数1万2000人を突破した急成長中のコンテンツ。その担当者の熱意に触れると、またしても「やろう」と決めた。
「ラグビーには格好いい言葉がいっぱいあるね。『ラグビーは少年をいちはやく大人にし、大人にいつまでも少年の心を抱かせる』。これも真理。変な話、鉄ちゃん(鉄道ファン)も割とそういうことがある。80~90歳のじいちゃんも、心は少年だからボケない。不思議ですよね」
そう笑わせると、ラグビーを応援する核心に言及した。
「いい言葉がいっぱいある中で、これこそが真理と思うのは『不条理に耐えられる人間ができる』かな。相手が強すぎたり、誰かが休んで人数がそろわなかったり、レフェリーが思いと違う笛を吹くこともある。不条理に耐えて、戦わないとやり通せないスポーツ。そこが一番、人間の成長につながるんじゃないですかね」
2025年10月、井門社長は11年ぶりにドイツに渡った。「ゼロイチ」と呼ばれる蒸気機関車の製造100周年を記念したイベントが行われていた。
現地で転倒し、帰国後に検査を受けると眼底骨折、胸骨骨折が判明した。
それでも10月に70歳の誕生日を迎える経営者は、豪快に笑い飛ばす。
「『ゼロイチの100年祭に井門は行かないのか?』と言われているようでしたから。額から血を流しながら、家族と記念に写真を撮りました」
ベルト周りに装着したケースには業務中もデジタルカメラを入れ、その中のデータには鉄道模型や、ラグビーの写真が格納されている。
少年のような心を持つ人が、次世代が打ち込むラグビーを支えている。(おわり)


