野球賭博問題で、大関琴光喜(34=佐渡ケ嶽)に大相撲史上初の「除名処分」の厳罰が下される可能性も出てきた。日本相撲協会は22日、東京・両国国技館で臨時の評議員会を実施。賭博問題に関し報告、議論が行われた。21日に発足した特別調査委員会は、この日から賭博問題の調査を開始。望月浩一郎委員(弁護士)は、悪質性の高い賭博関与者について最も重い除名も「あり得る」と断言した。この日、琴光喜が数年前から野球賭博を繰り返し、数千万円の「負け金」を抱えていたことが判明。否認を覆した虚偽証言と常習性から、厳罰はまぬがれない状況に追い込まれた。

 外部有識者10人による特別調査委員会は、前例のない「除名」という最も重い処分も視野に入れて調査を始めた。上申書で野球賭博への関与を申告した29人を対象に、この日は望月委員によれば「1ケタの真ん中ぐらい」と5、6人とみられる力士を聴取した。同委員会の27日の次回会合までに、野球賭博関与の29人を最低1回は聴取の予定。評議員会後に会見した望月委員は「除名もありえる。野球は『黒い霧事件』で永久追放になっているのに、相撲はないという甘い対応をするつもりはない」と厳しい姿勢を打ち出した。

 同委員は除名処分の対象について「悪質性の高いケース」と説明した。対象となりそうなのが琴光喜だ。この日、数年前から野球賭博を繰り返し、数千万円の「負け金」を抱えていたことが判明。関係者によると、仲介役の阿武松部屋の床池に試合の予想を伝えるなどして日常的に高額な賭け金で賭博を繰り返し、損失が膨らんだとみられる。常習性に加え、5月の理事会などで野球賭博を否定した虚偽証言の悪質性は高い。

 角界の野球賭博の実態解明を進める警視庁も、琴光喜については常習性が高かった可能性があるとみている。関与の度合いを見極めて書類送検など立件の可否を判断する状況に至った。

 望月委員はさらに「本当に中心になってやっていた人は、協会に残れない人も出てくるだろう」と、暴力団が胴元の場合、多くの力士の仲介役とされる床池も悪質性の高さから、除名処分の可能性が出てくる。除名なら退職金が支払われることなく、相撲協会から永久追放されることになる。

 処分の判断材料として、望月委員は「個人的な意見では数千円はセーフ、数百万円はアウト」と話し、近く明確な境界線を定める予定だ。ほか「親方、横綱、大関は模範となるべき」と、地位によって処分に差が出る可能性も指摘した。処分は基本的に警察の捜査を見守ってから決めるが、望月委員は「除名相当であれば(処分を)出す」と断言。ただ、除名となれば評議員会(現総数111人)の4分の3の議決が必要なため「除名相当」を協会に進言することになる。