＜静岡学生野球春季リーグ：浜松大６－０静岡大＞◇７日◇松前球場◇第２週最終日

　浜松大が緊急事態を乗り越え、６－０で静岡大に完封勝ちした。先発のエース星山広宣（２年＝豊橋中央）が、右肩を痛め打者１人で降板。急きょ登板した２番手の池原暢敏投手（３年＝南部商）が１回２／３を無失点で切り抜けると、４投手の継投で相手打線を７安打に抑えた。

　突然の登板だった。先発の星山が先頭打者の２球目に右肩を痛め、打者１人で降板。「５回ぐらいから準備を始める予定だった」池原は、キャッチボールだけでマウンドに上った。いきなり連打を食らったが、スクイズを失敗させると以後は打者４人をピシャリ。１回２／３を無失点で切り抜け、嫌な流れを断ち切った。「もともと肩ができるのが早いので、いつも通りテンポよく投げようと思った」。永井浩二監督（３６）は「よく０点に抑えてくれた」と絶賛した。

　池原は１７０センチ、８８キロと太めの体形で、穏やかな性格と合わせ「ドラえもん」のあだ名を持つ。秘密道具はないが、切れのあるスライダー、抜群の制球力だけでなく「緊張したことがない」というマウンド度胸が武器。スパイクやグラブを忘れて試合に臨んだこともあるが、借り物でも平然と役割を果たす。沖縄・南部商では１年生の夏から登板。同年に創部以来初勝利を挙げたばかりの同校を、そのまま決勝まで導く原動力となった。この日の緊急登板にも「行けと言われれば行くだけ」と動揺はなかった。

　池原の後を継いだ２投手も無失点投球で、浜松大は完封リレーに成功。５回２／３を投げ初勝利の斎藤一公（３年）は「池原が（登板までの時間を）伸ばしてくれて気持ちがつくれた」と感謝した。「浜大のドラえもん」が、チームの窮地を救った。【斎藤直樹】