<全日本大学野球選手権:富士大2-0創価大>◇5日目◇13日◇準決勝◇神宮

 快進撃を続ける富士大(北東北)が、ついに初の大学日本一に王手をかけた。右腕エース守安玲緒(4年=愛知・菊華)が、自己最速145キロの速球を交えて3安打6奪三振で完封。2-0で創価大(東京新大学)を下し、東北勢5年ぶり8度目、北東北大学野球リーグ勢では初の決勝進出を決めた。14日の決勝で、青木久典監督(36)の母校・法大(東京6大学)と対戦する。

 大詰めの9回表。先頭を中飛、続く4番を144キロ速球で空振り三振に仕留めた守安の、圧巻は最後の打者。カウント2-2から、この日2度目の自己最速145キロ直球で空振り三振に仕留め、雄たけびを上げながらガッツポーズを繰り出した。初戦から鉄腕ぶり発揮の4連投。守安がまたしても快投を演じた。

 チーム、そして守安自身も今大会4連勝。春季リーグ戦から無傷の10連勝&計1001球の熱投だ。試合後には、大学日本代表候補に追加登録。「真っすぐのコントロールがよく、走っている感じがしてテンポよく投げられました。後半は力が余って、クリーンアップだったので力を入れて投げました」と、神宮の空に笑みをはじけさせた。

 準々決勝まで3試合連続で先制点を許しただけに、試合前「絶対に完封してやる」と宣言。有言実行の投球に青木監督も「とにかく守安です。彼と心中するつもりでしたが、投球術がよく、安心して見ていられた」と絶賛した。

 リーグ史を塗り替えた。これまで秋の明治神宮大会を含め、東北勢で全国大会の決勝を経験しているのは東北福祉大だけ。試合直後に涙ぐんだ青木監督は「恥ずかしい話ですが、たくましく成長した選手を見てジーンときました。(選手たちから)『まだ早いですよ』と言われてしまいました」と照れ笑いした。

 14日の決勝で、4年時に主将も務めた母校・法大と対決する指揮官は、丑(うし)年生まれの年男。地元名産の「前沢牛」同様?

 全国ブランドに上り詰めた青木監督は「思ってもみませんでした。母校での4年間の積み重ねがあったから今がある。恩返ししたい」と意欲を見せた。

 同じ岩手・花巻市にある花巻東高出身で、センバツ準Vの後輩たちに並んだ夏井大吉主将(4年)は「ここまで来て負けるわけにはいかない。監督を日本一にして全員で泣きたい」と闘志をむき出しにした。【佐々木雄高】