<東京6大学野球:慶大7-4早大>◇最終週最終日◇1日◇神宮

 早大・斎藤佑樹投手(3年=早実)が、涙で大学3年目のシーズンを終えた。連投のマウンドは1回を1失点。チームも慶大に連敗し、優勝を明大にさらわれた。斎藤は通算25勝(今季3勝2敗)で、3年終了時の江川卓(法大=通算47勝)に8勝差となって最終学年を迎える。明大は勝ち点4で他校を上回り、3季ぶり33度目の優勝に輝いた。早大は04年春以来の4位。慶大は勝率で明大を上回りながら勝ち点で及ばず2位となった。

 ライトスタンドの応援団にあいさつした時、早大・斎藤の目から涙があふれた。「4年生を優勝させてあげられなくて悔しかったです」。口調ははっきりしていたが、目には涙が光ったままだった。9回に08年春の明大2回戦以来となる救援のマウンドに上がったが、内野ゴロで追加点を許した。リーグ戦4位は05年に応武篤良監督(51)が就任してから初めてだった。

 10月11日の立大1回戦で今季3勝目、リーグ通算25勝目を挙げた。43試合目での到達は、法大時代の怪物江川卓氏に試合数では並ぶペース。来年には怪物超えも、と期待は高まった。しかしそこから4試合に先発しながら勝てなかった。「原因はまったく分からない。神様が与えた試練だと思う」と首をひねる。勝ち星から見放された分だけ、エースは自信を失いつつある。「最近抑えるイメージがなく、そのままいってしまった」と振り返った。

 悩めるエースもついに最上級生になる。応武監督は斎藤について「必ずリーダーになる。自覚を持ってやってほしい」と期待する。斎藤は1点を失ったものの、145キロを計測したこの日の投球に来年につながる光を見いだした。「技術的な不安は払拭(ふっしょく)できた。来年は何としても、最高の年にしたい」。自身のドラフトイヤーになる来年、斎藤の真価が問われる。【亀山泰宏】