98年「松坂世代」以来の豊作といわれる「ハンカチ世代」が、待望のドラフトイヤーを迎える。早大・斎藤佑樹投手(3年=早実)のほかにも、実力派投手陣がめじろ押しだ。東都大学リーグでは中大・沢村拓一投手(3年=佐野日大)が大学生史上最速の156キロをマークしている。

 沢村が圧倒的な存在感を見せたのは9月5日の秋季リーグ開幕戦(対青学大)だった。1回無死三塁のピンチから156キロを投げ込んだ。大学生の神宮最速を2キロ更新すると、この回155キロを2球、154キロを3球マーク。「評価してもらって1位で行きたい気持ちはあります。4年の秋を終わった時に、大学で1番といわれる選手になりたい」と誓った。

 佐野日大では4番手だった。3年夏は登板がなく、外野手で出場。元巨人の完全試合男、高橋善正監督(65)に出会い「『上(プロ)に行きたかったら、やれよ』と。自分がやるしかない」と練習に打ち込んだ。140キロ前後だった直球は飛躍的に伸びた。

 週3度は2時間半かけて8種類ある下半身のウエートトレーニングを欠かさない。大学入学後、太もも回りは7センチ増の65センチ、体重は13キロ増の90キロになり、剛速球を生み出す源になった。

 2種類のスライダー、フォークに加え、緩急を付けるためにカーブを習得中。「160キロは出したい数字。(日本人最速)158キロに大学生で並んだら、面白いですよね」。ニヤリと笑って言った言葉に、現実味がこもっている。