<東京6大学野球:早大4-2慶大>◇最終週2日目◇30日◇神宮

 さあ、佑ちゃんで逆転優勝だ。早大が4-2で慶大を破り、1勝1敗の五分に戻して、3季ぶり42度目の優勝に逆王手をかけた。先発の福井優也投手(4年=済美)が6回2失点(自責1)、大石達也投手(4年=福岡大大濠)が3回無失点とドラフト候補リレーで慶大打線を3安打に抑えた。31日の3回戦は斎藤佑樹投手(4年=早実)が先発する。慶大は1回戦で勝利した竹内大助投手(2年=中京大中京)が先発し、両エースが優勝をかけて再対決する。

 熱い早慶戦のフィナーレは、“持っている男”斎藤に託された。勝利の瞬間、マウンドで雄たけびを上げる大石を見つめながら、軽く手をたたいてベンチを歩み出た。試合中はメガホンを握りしめ、終盤はブルペンに入って3回戦への調整を行った。応武篤良監督(52)は「(31日は)斎藤がどこまでいけるか。福井、大石も準備させて、総力戦でいきたい」と逆転優勝への青写真を描いた。

 もう負けられない一戦は、ドラフト候補コンビがマウンドを守った。福井は自己最速タイの152キロを出して、6回2失点。敗れた29日、寮に戻ると斎藤から「頼むよ~」と冗談交じりに声をかけられたという。「昨日斎藤も悔しかったと思う。(3万2000人の観衆に)ここに来て良かったと思われる試合がしたかった」と胸を張った。

 7回から登板した大石は、3回5奪三振無失点で締めた。福井が特大ソロを浴びた慶大の4番伊藤を、8回1死からこの日最速の153キロ直球で空振り三振に切った。「あまり良くなかった」と言う中で結果を残す。盤石のリレーで逆王手をかけて、斎藤にバトンを託した。

 福井は試合後、斎藤に「『明日頼むよ~』って言いました」。胴上げ投手候補の守護神大石は「明日は何となく斎藤が全部持っていくような気がする」と笑って完投を予言した。

 斎藤は主将として、試合前はベンチ裏でバッテリーだけの円陣を組み「勝つぞ!」と声を出した。過去8度ある勝ち点を挙げた方が優勝の早慶戦は、すべて先勝したチームが優勝。そんな不利なジンクスも、発奮材料になる。早慶戦は中学3年の時に初めて観戦に訪れ、早大進学の後押しになったあこがれの舞台。昨春5月30日以来の早慶戦勝利で、3季ぶりの優勝をつかみにいく。【前田祐輔】