<全日本大学野球選手権:八戸大4-3北大>◇準々決勝◇11日◇神宮

 東北勢最後のとりでとなった八戸大(北東北)は延長14回、北大(札幌学生)にサヨナラ勝ちし、チーム記録に並ぶ6年ぶり2度目の4強進出を決めた。延長14回裏1死。2番・田代将太郎(3年=北海道・東海大四)が右翼ポールを直撃する大会史上9人目のサヨナラ本塁打を放ち、3時間21分の激戦を制した。

 息詰まる激戦に終止符を打つ、見事な初球打ちだ。田代が左打席から振り抜いた打球は黄色い右翼ポールを直撃。直後に一塁側の八戸ベンチが大歓喜に包まれた。チーム歴代8本目のアーチは、北東北リーグ勢初のサヨナラ本塁打になった。本塁ベース上でナインから手荒い祝福を受けた田代は「打ったのは高めのスライダー。ファウルになるかなと思いましたが、当たった音がしたのでうれしかった。(祝福に)痛みは感じませんでした。気持ちがよかった」と自身初のサヨナラ打を振り返った。

 国立・北大の快進撃に注目が集まる“アウェー状態”で、予想以上の苦戦を強いられた。4回に逆転され、5回に再逆転。だが8回表、1死三塁の窮地で満を持して投入した左腕エース塩見貴洋(4年=愛媛・帝京五)が同点打を許し、沈滞ムードに陥った。延長13回裏には1死満塁の好機も逃した。藤木豊監督(45)は開口一番「長くなってすみません」と苦笑い。さらに「上に上がっていく中で、こういうしびれるゲームはある。救いは落とさなかったこと」と選手たちの辛抱強さを評価した。

 大学創立30年目で北東北リーグ勢通算25勝目をマーク。09年準優勝の富士大に並ぶリーグ記録にも、あと1勝に迫った。久保一等主将(4年=埼玉・聖望学園)は「(6年前の)先輩たちの記録に並べてうれしい。でも目標は日本一なので」と意欲。藤木監督も「あと2つですからね。意識はしています」と大学頂点を見据えた。【佐々木雄高】