中日の自滅につけ込んで白星が転がり込んだ。7回に逆転した阪神は、その裏から馬場をつぎ込んで逃げ切りをはかった。

権藤 わたしには勝率5割を超えるようなチームの戦いには見えなかった。せっかく負けゲームをひっくり返したのだから、馬場はもっとハツラツと投げられないのかな。「打たれてはいけない」と考えるあまりに重箱のスミをつつきながら投げているように見えて仕方がなかった。

3点リードした直後の7回、2番手馬場が京田の右前打と2四球で満塁のピンチを招いたが、なんとかしのいだ。

権藤 どっちもどっちだ。7回表は1点リードの中日のリリーフが四球から崩れてくれた。谷元の3四球で1死満塁になると、代わった岡田が2ボールにした後、北條の左越え二塁打で3点。せっかく逆転したんだから、その裏の馬場はもっと大胆に投げなくてはいかんよ。

昨シーズン負け越している対中日は、3連敗後の4連勝。ただ、左腕大野雄に対した打線は、4回の大山の左越え本塁打だけで、チーム4安打に終わっていた。

権藤 相手は最下位チームで、中日だから幸いにも勝てた。何度もいうが相手から崩れたゲームだ。打つほうは大山と梅野の2人には振りの強さがある。大山は甘い球を逃さず本塁打にした。しかし、サンズ、ボーアの外国人は振りが弱いし、迫力は感じない。少なくとも阪神の戦いぶりから上位を狙うような強さは伝わってこなかった。

【取材・構成=寺尾博和編集委員】