7日の教育リーグ・オリックス戦(舞洲サブ)で死球を受け、右手親指を骨折した阪神2年目の坂本誠志郎(23)が地道なリハビリに励んでいる。19日も鳴尾浜でランニングや左手だけの打撃練習などを黙々とこなしていた。右手は固定され、痛々しさが伝わってくる。箸を持つのも右。利き手が使えない苦労は想像に難くない。でも笑顔を浮かべて言った。「左手でも全然苦にしていないですよ。右が使えないことを苦にしないようにしています」。悔しいに決まっている。でもクヨクヨしても良いことはない。前向きな姿に、心を打たれた。

 復帰を目指す鳴尾浜から約3キロ先の甲子園では、センバツ大会が幕を開けた。母校の履正社も初日から登場した。相手の日大三は阪神高山の出身校。奇しくも15年ドラフトで明大から1位(高山)、2位(坂本)で阪神に入団した2人の母校対決になった。

 「気になりますけど、そういってられる立場ではない。僕も早く甲子園に戻れるようにしないと」。そんな坂本先輩を励ますように、履正社は日大三との強豪対決を制して初戦突破を決めた。テレビ越しに焼き付けた後輩たちの躍動…。きっと勇気をもらったに違いない。【阪神担当 山川智之】