楽天の今年のスローガンは、「東北・夢・再び」。白いボード板に、記されている。梨田監督が、毛筆でしたためた。「夢は大好きな言葉。東北の人たちに夢や元気を再び届けるため、13年以来のリーグ優勝、そして日本一奪還を果たしたい」という意味が込められている。

 そのスローガンは、Koboパーク宮城の三塁側ベンチに設置されている。

 そのはずだった。

 京セラドーム大阪での試合前のことだった。三塁側ベンチで選手を待っていると、両手に大きな荷物を抱えた三田広報の姿を目にした。あるはずのない、白いボード板。スローガンだった。「何故ですか?」と聞くと、「仙台から運んだんですよ。ビジターにも持って行くんですよ」と説明し、そのままベンチの端に置いた。「常に意識を持つため」という、立花球団社長の発案だという。

 ホームだけでなく、ビジター球場でも監督、コーチ、選手やスタッフの目に留まるという訳である。「スローガンを掲げる」。文字通りの現象が、このチームでは起きている。面白いと感じた。今年の楽天は交流戦を前にして、首位を突っ走っている。「移動式のスローガン」が、強さを支えているような気がする。【楽天担当=栗田尚樹】