東都大学リーグや仮契約、神宮球場の見学などの際に接し、まじめで、まっすぐな性格だと感じていた。ヤクルトのドラフト1位、国学院大・清水昇投手(22)だ。

ドラフト候補として注目を集めていた東都大学リーグでは試合後、いつも丁寧にサインや写真撮影に応じていた。勝利した後はもちろん、敗戦後にも、球場を出る際に声をかけられると立ち止まっていた。勝利後と変わらない対応をしている姿が、印象に残っている。

12月8日、横浜市内の同大キャンパスで「国学院大硬式野球部 納会 4年生送別会」が行われた。4年生が1人ずつ壇上に呼ばれ、送別の品を受け取る一幕があった。全員がマイクの前に立ち、チームメートや指導者へメッセージを送った。

清水の番が回ってきた。「2年春からエースとして投げさせてもらいましたが、3年間、優勝できず申し訳ありませんでした」。謝罪の言葉から入った。

「第1志望の大学に落ちて、鳥山(泰孝)監督と面談をして、卒業する時に『この大学でよかった』と言えるようにプロを目指したいと言ったんですが。監督さん。この大学に入って、僕は本当によかったと思います。4年間、本当にありがとうございました」

目の前のテーブルの真正面に座っていた鳥山監督に語りかけた言葉は、まっすぐだった。監督は腕で顔を覆い、泣くふりをして周囲の笑いを誘った。それでも納会の後「ここで泣いたら(いけない)、と思いました」と振り返り、実はこみ上げていたものがあったことを明かした。

清水は帝京時代、甲子園にあと1歩届かなかった。3年時、第一志望だった大学は不合格だった。そんな時、声をかけてくれたのが鳥山監督だった。周囲に比べ、進路が決まった時期は遅かったが、自分で決断した道。充実した4年間を過ごし、見事にドラフト1位でヤクルトへの入団が決定。「(国学院大に)入って良かったです、と伝えられて良かった」と硬式野球部での最後のイベントを終え、笑顔で振り返った。

「毎年、納会ではたくさんの人に声をかけてもらった。いざ4年間過ごしてみて、たくさんの人が支えてくれていたんだと思って、感謝の気持ちです。(プロ入り後)結果でこたえたいなと思います」

ヤクルトでは、即戦力として1年目からの活躍が期待されている。自分が望み、自分でつかみ取った道。「まずは1軍に定着すること」が目標という。着実に、1歩ずつ進んでいく。【ヤクルト担当 保坂恭子】