広島オスカル(2016年3月31日撮影)
広島オスカル(2016年3月31日撮影)

日本での戦いは続く。広島から戦力外通告を受けた(仲尾次)オスカル投手(27)は、トライアウト受験を経て、社会人新日鉄住金かずさマジック入りを決めた。「(オファーがあった)独立リーグへ行って、もう1度プロを目指すのは年齢的に厳しい。プロ3年間で積んだ経験がプラスになれば。力になりたい」。広島入りまで3年プレーしたホンダとは同一リーグだが「今度はライバル。負けたくない」。12月から練習参加するかずさマジックの一員として、再出発を切った。

17歳でブラジルから単身来日。白鴎大などを経て広島入りした。だが、プロ野球人生はわずか3年で幕を閉じた。1年目の16年は開幕直後に勝利の方程式の一角を任せられるなど23試合登板。17年は2試合、18年は1軍登板なしに終わった。「悔しさはあります」。満足感も、達成感も、ない。特に最後の1年はコーチからの進言で横手投げにするも苦しみ、結果が出ないことで焦りから空回りすることもあった。11月のトライアウトでは消化不良の1年を振り払うように、上から左腕を振った。実績ある元阪神の西岡、今成ら3選手を打ち取り、数球団からのオファーにつながった。

新天地で都市対抗野球出場とともに、やらなければいけないことがある。「両親が心配している。プロではできたかどうか分かりませんが、社会人ではしっかり安心させたい。プレーで結果を残せば一番の安心感になる」。ブラジルにいる両親を日本に招く夢は、社会人でかなえる。まずは戦う勇姿を地球の裏側まで届くように、これからも日本で投げ続ける。【広島担当=前原淳】

お立ち台で笑顔の広島オスカル(2016年3月27日撮影)
お立ち台で笑顔の広島オスカル(2016年3月27日撮影)