2位巨人がCSファーストステージで3位DeNAに敗れ、2016年シーズンが終わった。巨人はなぜ負けたのか。巨人OBでもある野球評論家の西本聖氏に聞いた。

 -CS敗退について

 西本氏 優勝を逃してからの残り試合の戦い方に問題があったのではないか。CSに向けての戦いではなく、ただの消化ゲームになっていた感が強い。

 -広島が巨人に勝って優勝を決めたのが9月10日。以降巨人は15試合で6勝9敗。最後は3連敗でレギュラーシーズンを終えた

 西本氏 気持ちの切り替えができていたのかな、と思う。この世界、大事なのは気持ちをいかに切り替えられるか。CSという次の目標に気持ちをうまく切り替えることができなかったのではないか。CS目前に(全力プレーを怠った)クルーズが登録を抹消されたり、チームが一つにまとまらなかったことも大きい。チームに暗さが出てしまうし、勢いより選手の間にも不信感が強まってしまう。まとまりを欠いたままCSに入ってしまったのではないか。

 -1勝2敗でDeNAに敗れた

 西本氏 梶谷、筒香、ロペス。この3人にレギュラーシーズンと同じように打たれた。シーズンの反省が生かされていない。同じ失敗を繰り返してしまった。

 -バッテリーに問題があった

 西本氏 勝負の仕方が中途半端。勝負どころで勝負ができなかったことが大きい。

 -小林捕手のリードは

 西本氏 リードというより自分の考えをしっかりと投手に伝えないといけない。ボール球にしたいのならゼスチャーでも何でもいいから投手に分かるようにしないといけない。サインを出すだけがリードではないということ。これは私の考えだが捕手は投手が育てるものだと思っている。好投手がいてこそ好捕手が育つ。例えばプロのエース投手と高校生の捕手がバッテリーを組む。一方で高校生投手とプロのレギュラー捕手がコンビを組んだとする。どちらが打者を抑えるかといえば答えは簡単。プロの投手が投げた方が間違いなく抑える。なぜなら捕手の構えたところに投げられるから。巨人のヘッドコーチをしている村田だって槙原、斎藤、桑田という好投手がいたからその相乗効果で好捕手になった。小林にはあれだけの強肩がある。しっかりと今季の反省をして、この悔しさを来年晴らしてもらいたい。

 ◆西本聖(にしもと・たかし) 1956年(昭31)6月27日生まれ、愛媛県出身。松山商から74年ドラフト外で巨人入り。2年目に1軍入りを果たすと77年に8勝を挙げ、80年からは6年連続で2桁勝利をマークするなど巨人の主力投手として活躍した。81年に沢村賞。中日に移籍した89年には20勝を挙げ最多勝。その後オリックスでもプレー。最後は94年、巨人で現役引退した。通算504試合に登板し165勝128敗17セーブ、防御率3・20。引退後は阪神、ロッテ、オリックス、韓国ハンファで投手コーチを務めた。16年から日刊スポーツ評論家に復帰。