元ロッテの里崎智也氏(野球評論家)の「ウェブ特別評論」を掲載中。12度目は、31日から始まる交流戦の見どころを紹介します。(成績は5月28日現在)

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 個人的に1番の楽しみは、日本ハム大谷の「本当の二刀流」を見ることができるかも、ということだ。

 セ・リーグの主催試合となるが、過去に投手でマウンドを守りながら、打撃でも主軸をを務めた選手を聞いたことがない。

 「5番ピッチャー大谷-」

 このコールが球場にアナウンスされるかと思うと少年時代のように胸が高鳴る。そんな場面にお目にかかれるのは、交流戦か日本シリーズしかあり得ないからだ。ファン目線で言っても大谷の二刀流は期待値が上がるのでは。

 規定打席に到達していないが、打率3割4分2厘、8本塁打、19打点と大谷の打撃成績はなかなか。

 好調な打撃は体重増も好影響という記事を見た。当然、体重が増えればパワーがつくから飛距離がアップするのは当然。力強さがあるからボールを昨季より体のより近くに呼び込める。また、打つ際、投手に近い右足を大きく上げなくてもいいから、反動を使わなくてもすむ。体の軸がブレないからミート確率も上がるという好循環なのではないだろうか。

 いっぽう投げるほうは2勝4敗、防御率3・02。開幕序盤に打線の援護に恵まれず、落とした星勘定を考慮すれば4~5勝していても不思議はなかった。勝ち星は、打線の絡みがあるから、仕方がない。

 現役時代、ロッテで打撃が良かったのは小林宏之(現BC武蔵監督)だった。打撃のいい投手は、基本、打つことが大好きで、たまに腰のキレを出す練習とか何とか言ってバットを振っているが、実は違う、バッティングが好きなのだ。「好きこそ物の上手なれ」とはよく言ったもので、バットを振ること、球を打つ練習が苦にならないから自然と打撃が上達する。

 大谷だけではなく巨人菅野のバッティングも負けじと素晴らしい。気付いているファンもいるかと思うが、打率は野手顔負けの3割3分3厘。6月3~5日の巨人対日本ハム戦(東京ドーム)で菅野、大谷の「二刀流」対決が実現しないかと楽しみでならない。

 大谷の二刀流に私の期待が大きいのは、未来への開拓者となってほしいという思いがあるから。ロッテ時代、お世話になった福浦さんは投手でスタートし、他界された山本功児さんの勧めで打者転向、01年には首位打者に輝くなど成功した。福浦さんはプロ23年目でいまだ現役だが、二刀流を目指すことで投手で芽が出なくとも打者で、など選手寿命が長くなる可能性もあるのではないかと思うのだ。もちろん、プロで二刀流は厳しいと言われる意見があるのは承知の上ですが。

 ◆里崎智也(さとざき・ともや)1976年(昭51)5月20日、徳島県生まれ。鳴門工(現鳴門渦潮)-帝京大を経て98年にロッテを逆指名しドラフト2位で入団。06年第1回WBCでは優勝した王ジャパンの正捕手として活躍。08年北京五輪出場。06、07年ベストナインとゴールデングラブ賞。オールスター出場7度。05、09年盗塁阻止率リーグ1位。2014年のシーズン限りで引退。実働15年で通算1089試合、3476打数890安打(打率2割5分6厘)、108本塁打、458打点。現役時代は175センチ、94キロ。右投げ右打ち。

(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「サトのガチ話」)