元ロッテの里崎智也氏(野球評論家)の「ウェブ特別評論」を掲載中。22回目は「いざ!ラストスパート」(パ・リーグ編)です。

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 独走と思われたソフトバンクが、日本ハムの快進撃でペナントの行方は抜きつ抜かれつの状態になった。残り25試合前後となり、各球団の現在の立ち位置を再度整理してみたい。今回はパ・リーグ編。

【ソフトバンク】

 混戦となった理由は各球団にエース級をぶつけてられているため。さらに8月の週末は日本ハム、ロッテ3連戦が交互に続いた。地力のあるパの上位球団相手に、いくらソフトバンクとはいえ、簡単に打ち崩せるはずはない。ただ戦力はあるのだから、あれやこれや変える必要はない。これまで通りの戦いで臨み、自らにプレッシャーをかけすぎないことだ。

【日本ハム】

 ご存じの通りの快進撃だ。オールスター明けとなった7月18日から8月28日まで22勝13敗の貯金9。ソフトバンクが同期間14勝19敗で借金5と足踏みしたため、2桁あったゲーム差が一気に詰まった。大谷がDHに入ったときの打線は破壊力抜群でつながりもいい。大谷がけがで先発ローテから外れているものの、先発陣は大谷がいなくとも有原、増井、高梨らの柱がしっかりしてきたためゲームが壊れない。見方を変えれば、首脳陣は投手大谷が及ぼす勝利数より、DH大谷のほうが勝利数が多くなるとふんでいるのかもしれない。

【ロッテ】

 安定の3位だ。これから先は、CSも見据えての試合となる。2010年シーズン3位から日本一を勝ち取った“下克上のロッテ”をリメークするにはけが人の戦列復帰が不可欠だ。球宴前の7月7日に貯金15あったが、8月29日現在では6まで減った。内が7月2日、藤岡が同19日、西野が同31日に選手登録を抹消されるなど「勝利の方程式」に乱れが出てV戦線から失速した。12球団トップクラスの中継ぎ陣さえ整備されれば地力はあるだけに勝負になる。

【楽天、西武、オリックス】

 パ・リーグについてはAクラス、Bクラスの3球団がはっきりしているため、CS進出争いはほぼ存在しない状況。来季に向けて、あるいは自分の成績アップのために残り試合で意地を見せるしかない。

 下位チームは上位進出の可能性がなくなっていけば、若手起用、来季に向けてのテストなど選手育成にシフトチェンジしていく。そうなれば試合の勝ち負けもさることながら、勝つことよりも先を見据えた上で、大事なものを試合で試す機会も増えてくる。

 そんな流れの中、ペナント争いを演じるソフトバンク、日本ハムは勝ち星を取りこぼさないようにしないといけない。直接対決が残り2試合と少ない中、プレッシャーのない下位チームのとの戦いでしっかり勝ち星を伸ばしていけるかが重要となる。

 ◆里崎智也(さとざき・ともや)1976年(昭51)5月20日、徳島県生まれ。鳴門工(現鳴門渦潮)-帝京大を経て98年にロッテを逆指名しドラフト2位で入団。06年第1回WBCでは優勝した王ジャパンの正捕手として活躍。08年北京五輪出場。06、07年ベストナインとゴールデングラブ賞。オールスター出場7度。05、09年盗塁阻止率リーグ1位。2014年のシーズン限りで引退。実働15年で通算1089試合、3476打数890安打(打率2割5分6厘)、108本塁打、458打点。現役時代は175センチ、94キロ。右投げ右打ち。

(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「サトのガチ話」)